新型コロナ感染拡大抑制できず、外出禁止措置を8月16日まで延長

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年08月06日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は7月31日の記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により3月20日から続く外出禁止措置を8月16日まで延長する方針を発表した。また、8月2日付政令641/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、締め切った部屋や自宅での集会を全国規模で8月16日まで禁じる措置を講じた。これに違反した場合、刑事罰の対象となる。

政府は134日間にわたって感染状況によって外出禁止令の緩和と厳格化を繰り返してきた。今回は9度目の延長となる。フェルナンデス大統領は「ここ15日間で感染者数が拡大した」だけでなく、「1日平均80人から90人の感染者の死亡が確認されている」とし、外出禁止令の新たな緩和措置は取り入れずに現在のまま継続する必要があると説明した。「(強制隔離措置以外の)他の解決手段がない」とも述べている。保健省によると、8月3日午前時点の全国の感染者数は20万1,919人、うち死者数は3,667人。1日当たりの感染者は約5,000~6,000人で、うち89%はブエノスアイレス首都圏(AMBA、ブエノスアイレス市とブエノスアイレス州周辺35都市で構成する地域)で確認されている。ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保ちながら事業活動が行われているコルドバ州、メンドサ州、サンタフェ州などで感染拡大が目立ち始めていると政府は警鐘を鳴らしている。感染の多くは友人や親族同士などの集会で発生しているとの見方もある。

ブエノスアイレス首都圏ではこれまで、必要不可欠な事業以外の事業者が活動できず、行動制限に抗議するデモが多発するなど不満の声が高まっていた。これを受けて7月17日には、複数の製造業や商店を含む段階的な活動再開が発表されている(2020年7月20日記事参照)。外出禁止措置が延長されても、これらの活動は制限されない。

オラシオ・ロドリゲス・ラレッタ・ブエノスアイレス市長は17日に「市の段階的な再開のための総合計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。8月3日以降、主要終着駅周辺以外の大通りなどに面する衣類などの小売店や、繊維、冶金(やきん)、木材を含む製造業の再開が認められる。これに伴い、公共の場で実施される活動を優先し、厳格な感染防止プロトコル(手順)を進めていると説明した。なお、外出禁止措置が延長されても、8月3日以降に再開が計画されていた活動は変更なく再開できる。

写真 ブエノスアイレス市内の薬局前で入店の順番を待つ市民(ジェトロ撮影)

ブエノスアイレス市内の薬局前で入店の順番を待つ市民(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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