トルコ、黒海で天然ガス田を発見

(トルコ)

イスタンブール発

2020年08月27日

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は8月21日、黒海で推定3,200億立方メートル規模の天然ガス田を発見したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ガス田が発見されたのは、黒海沿岸ゾングルダク沖の北約175キロのトルコ排他的経済水域(EEZ)内で、「サカルヤガス田」と名付けられた。エルドアン大統領は、黒海においては過去最大級の発見だとし、2023年までに国内供給を開始することを目標としていると述べた。

ファーティヒ・ドンメズ・エネルギー・天然資源相は同日、「ガス田の試掘作業は水深2,100メートル、海底からさらに1,400メートルの深さで試掘作業が続いている。ガス田は500メートルの深さで発見された」と述べ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、その先にさらに別のガス田とみられる2つの層を示すデータがあるとし、期待を示した。

トルコは天然ガスを海外からの輸入に依存しており、「トルコ天然ガス市場レポート2019外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によれば、2019年にロシア(構成比33.6%)、アゼルバイジャン(21.2%)、イラン(17.1%)、アルジェリア(12.6%)、ナイジェリア(3.9%)などから452億立方メートルの天然ガスを輸入している。エルドアン大統領は「トルコは長年、エネルギー問題に苦しめられてきた。エネルギー輸入は、経常赤字の大部分を占めている。今後は、エネルギー純輸出国となるために全力を尽くす」と強調した。発見された天然ガス田は、トルコの国内天然ガス需要の約7年分に相当するという。

他方、外国為替市場では、通貨リラの対ドル相場は8月19日に一時7.2リラ台まで上昇したが、大統領の本件の発表後に最安値圏の7.3リラ台後半まで下落した。その背景には、エルドアン大統領が予告していた「グッドニュース」が、推定埋蔵量8,000億立方メートルの大規模なガス田発見ではないかとの報道があったにもかかわらず、発表されたのが比較的小規模なガス田だったことや、供給に至るまで最長10年、生産インフラに数十億ドルの投資が必要とされること、採算性の面から外資が関心を示す可能性が疑問視されたことがある、と現地紙(8月24日付)では指摘されている。

(エライ・バシュ)

(トルコ)

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