カナダ政府、米国産アルミ製品輸入に報復関税適用へ、米国の追加関税措置を受け

(カナダ、米国)

トロント発

2020年08月12日

カナダのクリスティア・フリーランド副首相は8月7日、トランプ米国大統領がカナダからのアルミニウム製品輸入の一部に対して10%の追加関税を再び賦課するとの大統領布告に6日に署名した(2020年8月7日記事参照)ことを受け、米国から輸入するアルミニウム製品の一部に対して総額36億カナダ・ドル(約2,880億円、Cドル、1Cドル=約80円)相当の報復関税を発動すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同副首相は米国の追加関税措置について、「米国経済が大恐慌以来最も深刻な危機に苦しむ中、追加関税賦課により自国民を害するという不条理な決定を下した。ビールやソーダ缶、自動車や自転車を買う米国民の誰もが苦しむことになる」と非難し、「不当な関税に対して、カナダは労働者を守るために迅速かつ強力に対応する」と述べた。

カナダ財務省は8月7日、報復関税の適用を検討している品目リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、9月6日まで募集するパブリックコメントを踏まえ、対象品目を最終決定すると発表した。品目決定に先立ちカナダ産業界の声を聞くことで、国内産業への打撃を最小限にとどめる狙いがあるとみられる。品目リストには、アルミニウム塊のほか、洗濯機、冷蔵庫、自転車、ゴルフクラブなどのアルミニウム使用製品が含まれる。報復関税の対象品目には10%の追加関税が課される。報復関税措置は2020年9月16日までに発動され、米国による追加関税が撤廃されるまで継続される。

米国の追加関税措置を受け、アルミニウム生産大手が加盟するカナダ・アルミニウム協会のジーン・シマード会長兼最高経営責任者(CEO)は8月6日のプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、「(両国が)サプライチェーンを強化し、協力して経済を活性化させる必要があるこの時期に、(追加関税は)ロシアと中国の思うつぼだ。追加関税措置は他の貿易相手国に利益をもたらすだけでなく、カナダ製の金属がロシア製の金属に取って代わることになり、中国という本当の問題にも対処していない」と警戒感を示していた。

さらに、オンタリオ州のダグ・フォード州首相は8月7日の記者会見で、「(新型コロナウイルスの感染拡大の時期に)誰が最も緊密な同盟国、貿易相手国、世界最大の顧客を狙うだろうか。トランプ大統領はそれをした」と失意をあらわにし、消費者に米国からの輸入品の代わりに地元で生産された商品を購入するよう促した。

(飯田洋子)

(カナダ、米国)

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