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欧州委、初のワクチン事前購入契約を英アストラゼネカと締結

(EU)

ブリュッセル発

2020年08月31日

欧州委員会は8月27日、英国製薬大手のアストラゼネカと、新型コロナウイルス感染症ワクチンの事前購入契約を正式に締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州委が事前購入契約を結ぶのは今回が初となる。本契約により、加盟国は3億回分のワクチンを購入することが可能となり、さらに追加で1億回分を購入する権利をもつ。途上国や他の欧州諸国への寄付も含まれる。両者は、8月14日に契約について合意したことを発表していた(2020年8月14日記事参照)。なお、欧州委は本契約と並行して、共同で開発を進めるフランスのサノフィおよび英国グラクソ・スミスクライン(GSK)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや、米国ジョンソン・エンド・ジョンソン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドイツのキュアバック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、米国のモデルナ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの4件について、事前購入契約に関する予備的協議を進めている。

スピード開発に伴う安全性への懸念を払拭

ワクチンは通常、数年以上かけて研究・開発が行われるが、新型コロナウイルス感染症のワクチンは世界的に急速に感染が拡大したことから、開発が急ピッチで進められている。そねため、安全性などの点でリスクが生まれる可能性は否定できず、8月26日付の英国紙「ファイナンシャル・タイムズ」は、製薬業界が、問題が生じた場合の企業の免責をEUに求めている、と報じていた。

今回の契約締結の発表において、欧州委はワクチンの認可と十分な供給の早期実現のため、「EUの法的枠組みにおける柔軟性を活用する」としながらも、「ワクチンの質、安全性そして効能に関する基準は維持する」とし、安全性に関する要件や欧州医薬品庁(EMA)による評価によって「市民の権利は完全に守られ続けることが保証される」として、スピード開発に伴う安全性への懸念の払拭(ふっしょく)を図った。

民事上の責任は開発企業にあるとしたものの、事前購入契約において、一定の条件の下で発生する民事上の責任について、加盟国が、大きなリスクを伴って開発を進める企業側に対して補償を行うとした。

欧州製薬団体連合会(EFPIA)も8月26日に声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、開発企業にとっての最優先事項は安全性だと強調。一部の人に副反応が出ることは、全ての医薬品、ワクチンで起こり得ることだとした上で、副反応が出た患者、医療システム、また新型コロナウイルス感染症対策に関わる人々に役立つ補償制度を設計するため、各国政府と協力しているとした。

EFPIAは、裁判によって補償が遅れることを避けるためにも、「補償が必要な患者が適切な水準の補償を得られる」制度の設計の必要性を訴えた。そして、EFPIAおよび傘下の欧州のワクチン開発を行う製薬業界団体ワクチン・ヨーロッパの会員企業は、既存の欧州の一部の国の例を参考にしながら、補償制度の設計のために当局や関係者と議論を進めているとした。

(滝澤祥子)

(EU)

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