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北西部で風力発電利用の「水素製造から利用まで」の実証実験プロジェクト開始

(ドイツ)

ベルリン発

2020年08月13日

経済・エネルギー省は8月3日、ドイツ北西部のシューレスビヒ・ホルシュタイン州での水素利用の実証実験プロジェクト「ベストキュステ(西沿岸)100」の実施と同プロジェクトへの3,000万ユーロの資金提供を承認した。ティッセンクルップをはじめとする民間企業、同州ハイデ市、ハイデ電力公社、ベストキュステ応用科学大学など10の企業・公共団体・自治体・大学が参加するコンソーシアムが同プロジェクトを推進する。プロジェクトの目的は、再生可能エネルギー由来の水素の効率的な生産と生産後の水素の安全な輸送および貯蔵システムの実用化に向けた研究で、まず今後5年間をプロジェクトの第1段階と位置付け、同州西側の沿岸地域において30メガワットの水素生産電解槽を建設し、その電解槽の運営、保守、制御、従来の天然ガスパイプラインを使用した水素供給の可能性に関する情報を発信する計画だ。

プロジェクトは、地域の既存産業やインフラ同士を結び付けることで、カーボンフリーなエネルギーへの転換と地域水素経済の確立を目指す点が特徴。仕組みとしては、洋上風力で発電した電力を用いて、水を電気分解して水素を製造し、ハイデ電力公社の既存天然ガスパイプラインで水素を輸送、さらにハイデ製油所でこれまで使用していた二酸化炭素(CO2)を排出する「グレー水素」を、風力発電由来でカーボンフリーの「グリーン水素」(注)に代替する。

経済・エネルギー省は、2018年12月に新規事業育成のための特例的な規制緩和戦略(サンドボックス・ストラテジー)を発表し、実証実験を促進すべく、2019年からこの戦略に沿った規制緩和制度を開始している。ベストキュステ 100は、エネルギー転換を推進するための規制緩和制度で認定された初の水素プロジェクトとなる。

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は同プロジェクト承認に際して、「ベストキュステ 100のような革新的かつ先駆的なプロジェクトは、水素関連分野でドイツがリーダーシップを獲得する布石」と自信を示した。2020年6月に発表された「国家水素戦略」の実現方法が具体的になっていない、と疑問視する声があがる中、8月15日付「ハンデルスブラット」紙は、同相が、ドイツ政府の行動がこれまで「遅すぎた」として、EUの2050年の気候中立目標(2019年12月12日記事参照)を達成するため、今後数カ月で迅速化するための道筋を策定する必要がある、とする発言を報じている。

(注)化石燃料から生成する水素はグレー水素、再生可能エネルギー由来の電力で生成する水素はカーボンフリーとなり、グリーン水素と呼ばれる。国家水素戦略では、グリーン水素の利用を推進する方針が打ち出されている。

(ヴェンケ・リンダート、中村容子)

(ドイツ)

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