域内感染の終息に注力

(香港)

香港発

2020年08月06日

香港特別行政区(以下、香港)政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は8月2日、公式ブログで、新型コロナウイルスの感染再拡大における域内の経済状況や今後の対策などについての見解を発表した。

香港では、第2四半期(4~6月)に新型コロナウイルスが一旦終息に向かい、6月の小売売上高は前年同月比でマイナス24.8%と、前月(マイナス32.9%)と比べマイナス幅が縮小した。しかし、7月に入ると感染ペースが再び加速し、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。陳財政長官は「第3四半期(7~9月期)の香港経済はいっそう大きな下振れ圧力を受ける可能性がある」との見通しを示した。

陳財政長官は、今後、新型コロナウイルスの検査体制を大幅に改善し、感染者、特に無症状感染者の正確な把握に努め、感染者やその家族、地域社会などの健康と安全を確保するために適切な隔離治療を施し、社会的距離などの措置を継続することによって、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制することが重要との認識を示した。また、経済回復に向けて「当面は域内感染を収束させることが重要な課題だ」と述べた。

2つのサイクルに力点

その上で、陳財政長官は、今後は2つのサイクルを回していくことが最重要であると述べた。1つ目は、香港域内の感染拡大を抑制し、感染事例をゼロに抑え、市民が通常どおりの生活と外出ができるようになることで、経済は活力と勢いを取り戻すことができると説明した。2つ目は、域内感染の封じ込めが成功した後に、一定の条件下で香港と中国本土・マカオ間のビジネスや観光目的での相互往来を再開させ、事業活動の迅速な再開と観光、小売り、飲食などの業界で働く市民の収入を増やすことが可能になると説明した。

陳財政長官は、「2つのサイクルを回すことに成功すれば、経済は早期に回復し、企業収益や市民の収入が増加に転じる」と述べるとともに、今後、状況をみながら、往来制限の緩和対象を新型コロナウイルスが終息した他のアジアの国・地域にも拡大し香港の域内経済を復興したいとする青写真を示した。

(吉田和仁)

(香港)

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