7月の消費者物価指数は20年ぶりの低水準

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年08月17日

インドネシア中央統計局(BPS)は8月3日、2020年7月の消費者物価指数(CPI)を発表した。7月は前年同月比1.54%となり、2000年5月に1.2%を記録して以降で最も低い水準となっている(添付資料図参照)。中央銀行は目標インフレ率を2~4%としているが、6月に続き、目標を下回っている状態だ。2019年5~11月は3%台で安定していたものの、2019年12月に3%を割り込み、それ以降は低下基調にある。

主要項目別にみると、輸送(0.71%減)と情報・通信・金融(0.31%減)の2項目が下落した(添付資料表参照)。一方で、インフレ率が高かった項目はパーソナルケア・その他サービス(6.05%)で、以下、医療(4.20%)、教育(2.66%)、レストラン(2.57%)、食品・飲料・たばこ(1.73%)の順となった。

前月比ではデフレ、新型肺炎が影響

前月比では、CPIは0.1%減とマイナスに転じた。主要項目別では、11品目のうち食材・飲食・たばこ(0.73%減)、住宅・水道・電気・ガス・家庭用燃料(0.01%減)、輸送(0.17%減)の3項目が低下し、CPI押し下げの要因となっている。そのほかの8項目は、全て1%未満の上昇にとどまっている。BPSのスハリヤント長官は「エシャロット(タマネギの一種)や航空運賃、ブロイラーなどの価格下落がデフレを引き起こした」との見方を示している(「ジャカルタ・ポスト」紙8月3日)。

地域別では、調査対象の90都市のうち、61都市で下落し、29都市で上昇した。下落率が最も高かった都市は西パプア州のマノクワリのマイナス1.09%で、エシャロットやニンニクを含む食品価格の低下が要因となった。一方、パプア州のティミカは、航空運賃の上昇が要因となり1.45%上昇した。ジャカルタ首都特別州は、マイナス0.05%だった。

スハリヤント長官は「通常、ラマダン直後の3カ月間はデフレが発生することが多い。しかし、7月のデフレは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、経済成長が鈍化したことで引き起こされたものだ」と分析している。

(デシー・トリスナワティ、上野渉)

(インドネシア)

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