カナダ、米国との間の不要不急の渡航制限を9月21日まで延長

(カナダ、米国)

トロント発

2020年08月20日

カナダのクリスティア・フリーランド副首相は8月14日、カナダと米国は両国間の不要不急の渡航制限を9月21日まで延長することに合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。渡航制限は3月に合意され(2020年3月19日記事参照)、その後、延長措置が繰り返されている。

カナダ連邦政府は3月に検疫法に基づく緊急命令を発令し、外国人の入国を禁止した。就労・就学などの理由による必要不可欠な渡航は規制から除外されており、6月には配偶者や両親など近親者の渡航が認められるなど規制の緩和もみられるとはいえ、入国規制では慎重な対応が続いている。

カナダの新型コロナウイルスの累計感染者数は12万3,490人、死者数は9,049人となっている(いずれも8月19日時点)。これまで長期養老施設での感染者数が多かったものの、医療崩壊の報告はない。カナダで経済活動の再開が最も遅れていたオンタリオ州では8月18日時点で、新型コロナウイルス関連の入院者数は42人、うちICUの患者15人(人工呼吸器使用者10人含む)と発表されている。一方、死者数が17万人を超えた米国では感染拡大が収束に向かっておらず、カナダ人の多くは米国との間での渡航制限を支持しているという調査結果も出ている。

トロントにあるヨーク大学のスティーブン・ホフマン教授(世界保健、法律、政治学)は、カナダが米国からの入国を制限したままほかの国に門戸を開いた場合、米国側の反発を招くおそれがあるため、「米国がウイルスを制御していると確証するまで、カナダはどの国に対しても国境を開くことはないだろう」とコメントしている(CBCニュース8月18日)。

(江崎江里子)

(カナダ、米国)

ビジネス短信 31cf69e3131298cc