EU、カンボジアへの特恵関税の一部停止措置を実行

(EU、カンボジア)

ブリュッセル発

2020年08月13日

EUがカンボジアに適用してきた特恵関税の一部が8月12日から停止された外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。欧州委員会が同日、発表した。2月12日に採択された委任規則(2020年2月17日記事参照)に基づく措置。

人権侵害の改善がみられないと判断

特恵関税が停止される対象産品は衣類と履物の一部、旅行用品、砂糖(注)。欧州委によれば、カンボジアからEUへの輸入の約20%に該当する。8月12日以降はこれらの産品に対し、EUの最恵国税率に基づく一般関税が課せられる。その他の品目については、これまでどおり、武器兵器を除き、無税かつ関税割当も行わないEUの特恵関税制度「武器以外の全て(EBA)」の対象となる。

欧州委のフィル・ホーガン委員(通商担当)は「現在、カンボジアの人々が(新型コロナウイルスの)パンデミックによって困難な局面にあることは理解するが、カンボジアにおける人権と労働権の保護を確保する緊急性が損なわれることはない」とコメントした。欧州委によれば、カンボジアには2月の委任規則採択以降、政権に反対する勢力の政治的権利の回復や、政党やNGOに関する法令の改正または撤廃といった、人権状況を是正する措置をとる機会が十分にあったにもかかわらず、適切な対応を怠ったという。新型コロナウイルスがカンボジア経済にもたらした影響を考慮しても、人権侵害の回復は緊急性を要する問題だとし、今回の停止措置の妥当性を強調した。

欧州委は、今後も欧州対外行動庁(EEAS)とともに、カンボジアの人権状況の監視を続け、顕著な改善がみられる場合いは特恵関税の適用を回復する用意があると説明し、カンボジアに具体的な対応を促した。

(注)対象となるHSコードは委任規則2020/550外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの付属書で確認できる。

(安田啓)

(EU、カンボジア)

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