インド中銀、3会合ぶりに政策金利据え置き

(インド)

ムンバイ発

2020年08月13日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は8月6日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を4.0%に据え置くことを決定した。また、金融スタンスも引き続き「緩和的(accommodative)」を維持する。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、6月の消費者物価指数(CPI、暫定推計値)が6.1%となり、中期目標の4%±2%を超えたことが金利据え置きの要因として挙げられている。インドでは、ロックダウンによる供給途絶や需給ギャップの拡大といった市場の混乱により、食料品のインフレが進行していた。ロックダウン開始後の4月に10.5%の上昇を記録した後、6月には7.3%上昇とややインフレ率は低下したが、依然として高いインフレ水準だ。度々延長したロックダウンによる混乱の影響のみでなく、5月に起きたインド東部の洪水被害による食料品価格の急騰、石油製品への高い税金、携帯電話通信料の値上げ、鉄鋼価格の上昇などもインフレ率を引き上げる要因となっており、MPCは今後の先行きは不明瞭と言及している。

他方、経済回復の好材料として農業部門の好調と農村での購買需要の回復が挙げられているが、RBIは2020年度(2020年4月~2021年3月)の実質GDP成長率は、マイナスを予測している。MPCは、さらなる金融政策の余地を認めながらも、慎重かつ時機を得た政策を実施することが必要だとし、「CPIを中期目標に収めることが最大の義務だ」と述べ、「パンデミック以降の金融政策も有効に作用している」と今回の金利据え置きを説明している。

またRBIは、金利据え置きの発表に併せ、追加支援策も発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。主な支援策は、農業農村開発銀行(NABARD)、インド小規模産業開発銀行(SIDBI)、全国住宅銀行(NHB)などへの追加融資、個人・法人の借り入れに対し、一定の基準を満たした上で、各条件(返済期間)の変更を容認、個人ローンを含む不良債権処理のための条件緩和、などが挙げられた。

(比佐建二郎)

(インド)

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