最新の中銀経済見通し、インフレ率低下とGDP成長率悪化の傾向

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年08月13日

アルゼンチン中央銀行PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は8月7日、国内外44人の民間エコノミストらによる最新の経済見通しの集計中央値(REM)を発表した。同見通しは毎月、中銀が民間エコノミストらを対象に実施するアンケート結果で、今回の見通しは7月29~31日の期間に回答を得たもの。今回の特徴は、インフレ率予測は前回より下がる一方で、GDP成長率予測は一層の悪化が見込まれている点だ。

まず、インフレ率の予測では、2020年が39.5%(前回比1.2ポイント減)と40%を下回った。4月に44.4%を記録して以降、毎月緩やかな低下傾向になっている。月間インフレ率を見ると、7月2.4%(0.1ポイント減)、8月3.0%(変化なし)、9月3.5%(0.1ポイント減)、10月3.8%(0.2ポイント減)といったように、短期的には抑制されている。ただし、今後12カ月間のインフレ率は51.9%となり、前回の予測と同様50%を超える高い率となっている。長期的には、2021年46.7%(2.1ポイント増)、2021年35.4%(0.3ポイント増)と、引き続き複数年にわたってインフレ率が下がりにくくなっている。

実質GDP成長率予測では、2020年が前回よりさらに0.5ポイント低下してマイナス12.5%となっている(2020年7月7日記事参照)。四半期ごとでは、季節調整前ながらも、第2四半期が前期比マイナス17.0%(前回比0.5ポイント減)、第3四半期がマイナス8.0%(1.1ポイント増)、第4四半期がマイナス6.0%(0.1ポイント減)。エコノミストらは、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響は2020年上半期までとみており、「下半期には回復基調になる」としている。なお、REMでは、2021年の成長率は5.6%(前回比0.6ポイント増)、2022年は2.4%(0.4ポイント増)との見通しになっている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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