第2四半期GDP成長率(速報値)、前期比マイナス10.1%と過去最大の落ち込み

(ドイツ)

ベルリン発

2020年08月04日

ドイツ連邦統計局は7月30日、2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率の速報値を前期比マイナス10.1%と発表した(添付資料図参照)。これは、ドイツが四半期ごとのGDP成長率の統計を開始した1970年以降で最大のマイナス幅だ。前年同期比ではマイナス11.7%となり、世界金融危機の際の2009年第2四半期のマイナス7.9%を大幅に下回る、最大下落幅となった。

第2四半期のマイナス成長の要因は、財・サービスの貿易、および個人消費と設備投資で、いずれも大幅に落ち込んだことによる。他方で、政府支出はコロナ危機に対応して増加した。

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は同日のプレスリリースで、第二次世界大戦後最悪の不況で、経済全体が成長軌道に戻るには少なくとも2020年秋までかかるとし、「下半期は経済回復達成に尽力するが、それにはコロナウイルス感染者数を抑えることが必須」として、感染第2波への対応の重要性を強調し警戒感を強める見解を示した。

不況は底打ちとするも回復には厳しい見通し

経済団体や経済研究所も同日にプレスリリースを発表、第2四半期が景気の底との見解とともに、回復には厳しい見通しを示している。

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のマルティン・バンスレーベン会長は「多くの企業にとって不況は底を打っているものの、経済回復までにはまだ長い道のりがある」と述べ、第2波が発生せず、地域経済が徐々に回復することを前提に、2020年通年でのGDP成長率をマイナス10%と試算している。

ドイツ産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング事務局長も、感染の抑制が今後も維持されるとの条件付きで、不景気は今が底だろうとの見解を示した。また、今回の未曾有の不況から復活するには、少なくとも2年が必要と予測している。

さらに、経済成長を促すには、「競争力を保ち、ビジネスを再活性化するため、さらなる投資が必要」(DHIK)、「投資活動と個人消費回復を促進するため、連邦政府は経済政策の迅速な実施が必要」(BDI)、「デジタル、気候変動対策、資源の有効活用につながる経済育成に焦点を当てた投資活動の強化が重要」〔ドイツ経済研究所(DIW)〕など、投資の促進が必要との見方が相次いだ。

(高田勝敏、中村容子)

(ドイツ)

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