連邦参事会、失業保険への国費補填を可能とする失業保険法改正求める
(スイス)
ジュネーブ発
2020年08月21日
スイス連邦参事会(内閣)は8月12日、財政が悪化している失業保険の欠損拡大とそれに伴う保険料率アップを防ぐため、国費補填(ほてん)を行うことを可能とする失業保険法(LACI)の改正を急ぐことを連邦議会に求めると発表した。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済悪化の影響で3月以降、「部分的失業」となった被雇用者に対する部分的失業給付件数や失業保険給付件数が激増しており、失業保険財政が悪化している。現在の状況が継続し、2020年末までに失業保険財政収支の欠損金額が法定上限額とされる80億スイス・フラン(約9,280億円、CHF、1CHF=約116円)に達する見込みだ。
現在の制度では、欠損金額が法定上限を超えた場合には、その欠損を埋め合わせるため保険料率(労使折半)を現行の給与の2.2%から0.3ポイントを上限として引き上げる(最大2.5%)ことが失業保険法で規定されている。一方で、保険料率の引き上げを避けるため国費投入を行おうとすると、失業保険制度は独立採算が求められているため、政府予算を収入として認める法改正が必要となる。
今回のLACI改正の動きは、2021年までに欠損が125億CHFまで拡大すると見込まれる中で、既に議会が支出を承認した142億CHFを2020年に失業保険会計に充てるとともに、将来の給付支払い増の可能性に備えて2021年にも同様の補填を可能にしておくためのものだ。この法改正は、9月の連邦議会の秋季会期で審議される。
(和田恭、マリオ・マルケジニ)
(スイス)
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