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エネルギー憲章条約の現代化に向けた交渉開始

(世界、EU)

ブリュッセル発

2020年07月15日

エネルギー憲章条約の「現代化」に向けた第1回改正交渉が7月6~9日、ビデオ会議形式で実施された外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。この条約はエネルギー分野の投資と貿易ルールに関する国際条約(1998年発効、事務局:ブリュッセル)で、EUおよび加盟国(2016年に脱退したイタリアを除く)など56カ国・機関が参加している。

欧州委員会は7月10日、第1回交渉の結果概要外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、条約の基本的な要素、例えば「投資家」「間接収用」「公正衡平待遇」といった投資ルール上の概念の定義などについて議論を行ったことや、5月に公表したEUとしての改正提案を紹介した。

投資家対国家紛争解決制度の改正目指すEU

EUの改正提案の内容には、(1)投資保護ルールの現代化、(2)気候変動対応や低炭素化の実現、(3)投資家対国家紛争解決(ISDS)手続きの改正という3つの要素が含まれている。

背景には近年、同条約に基づき投資家が投資先国を提訴する投資家対国家紛争解決(ISDS)手続きが多用されていることが挙げられる。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、投資協定や自由貿易協定(FTA)などに基づく全てのISDS事案の累積数1,023件(2019年末時点)のうち、最多の128件がエネルギー憲章条約に基づく事案だ。この128件について、提訴された国の内訳をみると、スペインが47件と圧倒的に多く、イタリアが11件で続き、87件がEUおよび加盟国に対する提訴だ。

提訴の内容では、過半数が太陽光発電など再生可能エネルギー分野の投資に関する内容だ。例えば、エネルギー固定価格買取制度に関する買い取り価格値下げなど、投資受け入れ国の制度変更によって投資に対する期待利益が損なわれたというのが提訴を行う投資家側の立場だ。欧州グリーン・ディール投資計画(2020年1月21日記事参照)を推進するEUとしては、憲章にクリーン・エネルギーの推進などEUの政策に合致した規定を盛り込むことにより、グリーン・ディールに資する投資を拡大するとともに、ISDS制度の改正を通じて政策を実行する加盟国にとっての被提訴リスクを軽減したい狙いがあるとみられる。

次回の改正交渉会合は9月8~11日にテレビ会議形式で行われる予定で、ISDS制度や持続可能な開発なども論点となる。

(安田啓)

(世界、EU)

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