2020年第1四半期に落ち込む米国対内直接投資

(米国)

米州課

2020年07月10日

米国商務省経済分析局(BEA)は6月30日、2019年の対内直接投資残高を発表した。2018年末の残高4兆1,272億ドルから2019年末は4兆4,584億ドルに増加した。地域別構成比では欧州が64.4%、アジア大洋州が19.3%、カナダが11.1%となった(添付資料表1参照)。欧州は前年末から3.3ポイント減少し、アジア大洋州は2.3ポイント増加した。日本からの投資は13.9%を占め、国別では最大の投資元国となった。

2019年の対内直接投資額(フロー)は、前年に比べて17.0%増の2,614億ドルだった(添付資料表2参照)。地域別では、欧州はオランダ、アイルランド、スイスが落ち込んだものの、英国、ドイツが伸び、全体では、5.2%増だった。アジア大洋州は、日本やオーストラリアが伸び、2倍以上に増加した。中南米は、メキシコが前年の引き揚げから回復したが、全体で14.5%減となった。

業種別では、製造業が949億ドル、卸売業が330億ドル、金融(預金取扱機関を除く)・保険業が270億ドルと続いた。情報産業(前年比63.0%増)が伸び、卸売業は前年の引き揚げから回復したが、製造業は前年比44.1%減と振るわなかった

2019年のM&Aを見ると、100億ドルを超える大型案件は少なく、ドイツの半導体メーカー インフィ二オン・テクノロジーズが米同業サイプレス・セミコンダクターを104億ドルで買収し、オーストラリアの資産運用会社IFMインベスターズが米パイプライン企業のバックアイ・パートナーズを102億ドルで買収した案件が目立った。

グリーンフィールド投資では、カタール国営のカタール・ペトロリアムは、2019年7月シェブロン・フィリップス・ケミカルと共同で80億ドルをかけて米国 メキシコ湾岸に石油化学コンプレックスを建設することで合意した。

2020年第1四半期の対内直接投資額は、2019年第1四半期の767億6,400万ドルから526億3,200万ドル(前年同期比31.4%減)と大きく落ち込んだ。欧州は3.5%減と落ち込みが少なかったが、アジア大洋州が44.6%減、中南米が73.4%減、主要投資元国であるカナダも50.2%減だった。

6月16日に国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した世界投資報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、北米を含む先進国(欧州を除く)の2020年の対内直接投資額は、前年比20~35%減と予想されている。

(松岡智恵子)

(米国)

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