2019年の容器包装のリサイクル率が70%に向上

(フランス)

パリ発

2020年07月07日

容器包装のリサイクル管理を行う非営利団体のシテオ(CITEO)は6月26日、フランスにおける2019年の容器包装のリサイクル率が70%(前年比2ポイント増)となった旨を発表した。

リサイクル率は、スチール(100%)、ガラス(85%)、テトラパックの紙容器(57%)、テトラパック以外の紙容器(70%)、新聞紙などグラフィック用紙(57%)、アルミニウム(48%)、プラスチック(29%)と、素材により状況は大きく異なる。

1人当たりの年間分別収集量は、都市部が農村部の約半分で、容器包装は都市部が36キログラム(kg)に対し農村部が60kg、紙は都市部が15.5kgに対し農村部が22kgとなっている。原因としては、都市部の住居が狭く分別しにくいことや、廃棄物の管理を考慮しない都市計画、都会では廃棄した者を特定できないため社会的プレッシャーが少ないこと、通販利用の急増や屋外での食物の消費が多いこと、などが挙げられる。

プラスチックボトル(小瓶を含む)のリサイクル率は、前年比3ポイント増の61%になったが、ボトル以外のプラスチックのリサイクル率はわずか5%にすぎない。現在、リサイクル可能なプラスチックは50%で、リサイクル不可能なプラスチックのうち25%はリサイクルのためのエコデザイン(環境配慮設計)や新たなリサイクル工程の開発が必要となり、残りの25%は多層品などリサイクルするには複雑過ぎるためリサイクルは極めて困難だ。

プラスチックのリサイクルではEU諸国平均に比較すると後れを取っているフランスだが、シテオのカルロス・デ・ロス・ジャノス科学部長は「これまでボトル中心にリサイクルしてきたが、収集の対象とするプラスチック容器の種類を拡大することで、今後2、3年の間にリサイクル率が向上する」とし、「エコデザインとプラスチックのケミカルリサイクル(注)に注力している」と述べた。

一方、プラスチック製品のリサイクル率向上のため、デポジット制度導入の議論も進められている。政府および飲料業界は導入に意欲的だが、消費者団体および地方公共団体は反対している。環境・エネルギー管理庁(ADEME)が数日前に立ち上げたデポジット制度のフィジビリティスタディのための労働部会には、同制度に反対する地方自治体の廃棄物管理 ・リサイクル団体AMORCEや全国リサイクルクラブへの参加招請がされていない。

両団体は、他の消費者団体と共同でフィリップ首相宛ての公開状を発表し、その中で「デポジット制度に強く反対していることこそが、われわれが労働部会から除外されている原因ではないか。(われわれの表明は)公的な意思決定に必要不可欠なものだ」とした。今後のデポジット制導入の動きが注目される。

(注)高温で熱分解して合成ガスや分解油などの化学原料にするなど、化学的に分解して他の化学物質に転換して再利用する手法。

(奥山直子)

(フランス)

ビジネス短信 f6f9652c74e0f1fb