第1四半期の実質GDP成長率はマイナス1.0%、非石油セクターはプラス成長を維持

(サウジアラビア)

リヤド発

2020年07月02日

サウジアラビア総合統計庁は6月30日、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率はマイナス1.0%(前年同期比)と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。石油セクターがマイナス4.6%となったことがマイナス成長の主要因だが、非石油セクターは1.6%と、2017年第2四半期から続くプラス成長を維持している。

産業別にみると、プラス成長となった産業は、卸売り・小売り・外食・ホテル(4.8%)、その他鉱業(4.6%)、物流・倉庫・通信(4.1%)、金融・保険・ビジネスサービス(3.9%)、社会・個人サービス(3.7%)、建設(2.2%)、政府サービス(1.5%)、電気・ガス・水(0.2%)。

一方、マイナス成長となった産業は、石油精製(マイナス24.2%)、石油・天然ガス(マイナス2.9%)、石油精製を除く製造業(マイナス2.6%)、不動産(マイナス1.4%)、農業・林業・漁業(マイナス0.3%)。石油精製は下落幅が大きいものの、実質GDPに占める構成比は2.7%と少ない。それに対し、石油・天然ガスの下落幅はマイナス2.9%にとどまるものの、構成比が37.3%となっているため、実質GDP成長率への影響は大きい。

IMFが6月24日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした世界経済見通しでは、サウジアラビアの2020年の実質GDP成長率見通しがマイナス6.8%に改定され、4月に発表された経済見通し(マイナス2.3%)から4.5ポイントもの下方修正となった。新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響や、原油価格の下落の影響が改定の主な要因として挙げられている。このような状況を受けてサウジアラビアでは、7月1日からVAT(付加価値税)税率が5%から15%に引き上げられた。今後、第2四半期(4~6月)以降は、さらに新型コロナウイルスや油価下落の国内経済への影響が拡大すると予想されるため、注視が必要だ。

(佐々木宏行)

(サウジアラビア)

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