2020年上半期の国内新車登録台数、ドイツ再統一後で最低、前年同期比35%減

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年07月15日

ドイツ自動車産業連合会(VDA)のヒルデガルト・ミュラー会長は7月3日の記者会見で、2020年上半期の乗用車市場の実績と見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2020年上半期のドイツ国内の乗用車新規登録台数は新型コロナウイルスの影響を受け、121万700台と前年同期比で35%減少した。これはドイツ再統一から30年間で最低の水準となる。

VDAは、2020年の全世界の乗用車市場が前年比17%減の6,590万台になると予測。うち、欧州は24%減、米国は18%減、中国は10%減としている。ドイツ国内の乗用車新規登録台数は通年で約23%減の280万台とした。ドイツ自動車メーカーの受注の落ち込みが前年同月比で5月に比べて6月はやや戻るなど、足元では回復傾向がみられるが、この傾向が続いたとしても上半期の減少は補えないとしている。いずれも、新型コロナウイルスの感染拡大を欧州や世界各地で今後抑制できるという前提での予測だ。

2020年上半期のドイツ国内の乗用車生産は、需要の減少やサプライチェーンの一時断絶、数週間に及んだ生産中止の影響を受けて、前年同期比40%減の約149万100台となった。2020年通年では前年比25%減の350万台と予測している。

自動車産業に関わる国内従業員数は4月末時点で前年比約3%減の81万4,000人で、生産減は今のところ直接的な大量解雇にはつながっていない。ただし、VDAによると、自動車産業の2人に1人が短時間労働の状態にあり、2020年末に向けて特に部品産業で雇用が減少するとみている。

ミュラー会長は「この乗用車市場の落ち込みは過去に例がない」とした上で、「ドイツの自動車業界は新しい駆動システムへの移行やデジタル化への対応といった大きな課題も抱えている」と指摘した。

VDAによると、VDA会員企業は2024年までに、新駆動システムに500億ユーロ、デジタル化に250億ユーロの投資を計画している。さらに、ドイツ自動車メーカーは2023年末までに、次世代自動車のモデル数を現状の70から150以上に倍増する予定だ。ミュラー会長は、特に排出削減と長距離走行の双方を実現できるプラグイン・ハイブリッドに大きな可能性があるとし、気候変動に中立的なモビリティーの実現には、水素や再生可能エネルギーの活用が重要になるとした。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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