ジャカルタの小売店、7月1日からレジ袋の配布禁止

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年07月03日

インドネシアのジャカルタ特別州はプラスチックごみ削減のため、7月1日から小売店でのレジ袋の配布を禁止した。これにより今後、市民はスーパーマーケットやコンビニエンスストア、市場などで買い物をする際に買い物袋を持参するか、有料のエコバッグを購入する必要がある。今回の措置は、2019年12月末に公布された環境に優しい買い物袋使用義務に関するジャカルタ特別州知事令2019年第142号によるもの。同州は、措置が実施されるまでの6カ月間で小売店に対して顧客に周知活動を行うよう指示しており、スーパーマーケットでは告知の張り紙や顧客への口頭での周知などを進めてきた。

背景にごみ処理能力への深刻な懸念

ジャカルタ特別州がレジ袋の禁止に踏み切った背景には、ごみ処理能力に対する深刻な懸念がある。同州のデータによると、インドネシア最大のごみ最終処分場である西ジャワ州バンタルグバンに持ち込まれるごみの量は年々増加しており、2019年には1日当たり約7,700トンに上っている。同年9月7日付の「コンパス」紙によると、同ごみ最終処分場の収容能力は約4,900万トンだが、2018年10月時点で既に3,900万トンまで埋まっており、集積されたごみの高さは40メートルに達している。こうしたことから、2021年にも収容限界に達するとみられ、ごみ処理をいかに進めるかが喫緊の課題となっている。

こうした背景から、ジャカルタ特別州のアニス知事は近年、ごみ削減が必要だとする発言を繰り返しており、2020年2月にはジャカルタで排出されたごみの3割を同州内で処理したいと発言していた。7月1日付の「テンポ」紙によると、2018年のジャカルタのプラスチックごみ量は1日当たり980~1,100トンで、ごみ総量の14%に相当する。今回使用が禁止されたレジ袋はごみ総量の5%にしか当たらないなどとして、工業省や業界団体から反対の声も出ていたが、禁止に踏み切った。

写真 スーパーマーケットでレジ袋禁止となりエコバッグを販売(ジェトロ撮影)

スーパーマーケットでレジ袋禁止となりエコバッグを販売(ジェトロ撮影)

(山城武伸)

(インドネシア)

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