ビスカラ大統領が最後の独立記念日演説、任期中の新たな投資計画を発表

(ペルー)

リマ発

2020年07月30日

マルティン・ビスカラ大統領は7月28日、199回目となるペルー独立記念日における恒例の大統領演説を議会で行った。演説に先立ち、新型コロナウイルスによる犠牲者への追悼のための黙とうを行ったビスカラ大統領は、まず議会との対立が危惧されている政治的危機について、自身が政権の座に居座ることを目的としていないことを示すためにも、7月8日に大統領令第122-2020-PCM号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて2021年の大統領選挙投票日を4月11日に定めたことに言及した。

その後、2020年3月16日の緊急事態宣言以降の数々の政府の新型コロナウイルス対策について発表。特に医療体制の改善として、入院患者用ベッド数を新たに1万5,000床、集中治療(ICU)ベッド数を新たに1,400床増設などの成果を示した。その他の主な発表内容は、以下のとおり。

【保健医療分野】

  • 2021年7月までの全国民皆保険を目指す。
  • 2021年の医療保健分野予算として200億ソル(約6,000億円、1ソル=約30円)を計上する。

【経済支援分野】

  • 2020年8月から10月にかけて、約850万の生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)な世帯に対して、新たに各世帯に760ソルの給付金を支給。

【交通分野】

  • 首都リマとカジャオ特別区における公共交通機関へのICカード決済システムの導入。
  • 都市交通鉄道のリマメトロ第3号線と第4号線ならびに中央道計画は、政府間合意(GG)契約方式で行い、総投資額は300億ソルとする。
  • 「ペルー始動(Arranca Perú)」計画(2020年6月22日記事参照)の枠内で全国の国道約1万1,790キロ、地方道約4万8,858キロの整備に38億9,700万ソルの予算を計上。

【住宅分野】

  • 経済活性化計画の一環として、新規住宅購入または建設のための「家族住宅債券」約5億3,500万ソルの発行。
  • 不法占拠地正常化庁(COFOPRI)に対して、土地所有権のフォーマル化のための補完手段と権限を付与する法案の提出。
  • 安全かつ暖房設備を完備した住宅1万9,000軒を建設するための6億7,000万ソルを2020年予算に計上。

【教育分野】

  • 1万人の成績優秀な大学生の学費1年分を負担する「研究継続奨学金」制度の創設。
  • 独立200周年(2021年)以降2036年までの教育政策方針を定める「国家教育計画2036」の発表。
  • 30億ソルを投じて、政府間合意(GG)方式による75の学校の建設。

【デジタル政府分野】

  • 60日後に、デジタル政府と全国民のデジタル化を推進する「デジタル転換のための国家政策」を発表。

【雇用分野】

  • 「TRABAJA PERÚ(働くペルー)」計画により、全国25州の930の貧困層集中地域において、約20万4,000人分の臨時雇用を生む公共事業の実施(2020年6月22日記事参照)。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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