在香港の日系企業の業績は回復傾向、国家安全維持法には懸念

(香港)

香港発

2020年07月16日

ジェトロは、在香港日本総領事館、香港日本人商工会議所と共同で、在香港の日系企業などを対象にした「第4回 香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査」を実施(7月2~4日)した。

DI値は引き続き2桁のマイナスも、回復の兆し鮮明

調査結果によると、2020年4~6月期のDI値は、前期(2020年1~3月)より31.2ポイント回復し、マイナス25.5となった。2020年4月時点の予測DI値(マイナス46.1)からは20.6ポイント高い数値となった。7~9月期のDI値(見込み値)も、4~6月期より15.2ポイント上昇し、マイナス10.3となった(添付資料図参照)。

業績悪化の要因は「新型コロナウイルス」が最多

「新型コロナウイルス」「貿易摩擦など米中の対立」「中国の景気低迷」「デモ・抗議活動」による業績悪化への影響について、順位回答形式で聞いたところ、「新型コロナウイルス」を1位に挙げた企業は87.1%だった。「米中対立」は5.8%、「中国の景気低迷」は5.0%、「デモ・抗議活動」は2.1%となった。なお、企業活動への影響について、業種を問わず97.0%の企業が「新型コロナウイルス」の影響を受けたと回答した。

8割超が国家安全維持法に懸念

8割超の企業が、香港国家安全維持法について「大いに懸念している」(32.7%)または「懸念している」(48.7%)と回答した。懸念理由として回答が多かったのは、「情報に制限がかかる恐れがある」(70.5%)、「香港の『法の支配』『司法の独立』が失われる恐れがある」(62.4%)、「米国の制裁措置や米中関係の悪化を招きかねない」(61.5%)だった。

36.7%が香港拠点の活用方針を変更の可能性

今後の香港拠点の活用方針については、全体の約35%が「これまでと変わらない」と回答した。一方で、36.7%の企業が「今後検討する可能性あり」(22.2%)、「香港拠点の規模縮小」(9.6%)、「統括拠点としての機能の見直し」(3.6%)、「香港からの撤退」(1.3%)と回答した。

業務遂行上最大の懸念事項は「出入境制限」

強制検疫措置の緩和や広東省、日本などとの往来制限の早期緩和を望む声が多数寄せられた。このほか、賃金補助制度の継続や家賃補助制度の新設など経済対策の強化、香港国家安全維持法の運用基準についての明確な説明を求める意見も多くあった。

(吉田和仁)

(香港)

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