携帯大手が北極海通信ケーブル敷設調査に着手
(ロシア)
モスクワ発
2020年07月30日
ロシアの携帯通信大手メガフォンと国有地質調査会社ロスゲオロギアが7月17日、北極海で欧州~アジアを結ぶ光ファイバー海底ケーブル敷設のための合同海洋調査実施に関する契約に署名した。調査は8月5日から3カ月にわたり行われる予定。
本プロジェクトは「アークティック・コネクト」と呼ばれ、海底ケーブルでフィンランド、ロシアの北極海沿岸地域、日本、北米などを結ぶ計画だ。北極海を経由した日欧間の海底ケーブルは今のところなく、開通により日欧間の通信の高速化や、アジア~欧州間での通信量拡大への対応が期待されている。
海洋調査にはロスゲオロギアが保有する科学調査船「プロフェソル・ロガチェフ」を使用し、ロシア北西のバレンツ海から極東のチュコト海までの6,500キロを調査する。メガフォンのゲボルグ・ベルミシャン社長によると、第1期調査として、8月から海底の地形や安全な敷設ルートを特定するための予備調査を行う。2021年には第2期調査として、海底にある岩石の調査など、ケーブル敷設の技術的条件に関する調査が行われる。
ベルミシャン社長によると、光ファイバーケーブル敷設に係る投資見込み額は8億~12億ドルで、2023年の稼働を目指している(ITニュース・サイト「コムニュース」7月20日)。
これに先立ち、メガフォンは2019年6月6日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの場でフィンランドの通信事業者シニアと、北極海経由で欧州とアジアを結ぶ光ファイバー海底ケーブル敷設のための国際コンソーシアムを創設することで合意している。
なお、ケーブル敷設計画を受け、北海道では、ケーブルの陸揚げやデータセンターを誘致する組織として「北海道ニュートピアデータセンター研究会」が2020年7月14日に立ち上がった。
(浅元薫哉)
(ロシア)
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