アフリカ、新型コロナウイルス感染者数が50万人を突破

(アフリカ)

中東アフリカ課

2020年07月10日

世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局は7月8日、アフリカ大陸における新型コロナウイルス感染者数が6日に50万人を超えたと発表した。アフリカでは2020年2月14日にエジプトで初の感染者が確認されて以降、感染拡大が加速しており(2020年6月25日記事参照)、WHOは一部の国で急激な感染者数の伸びを記録していること、5カ月間でかつて西アフリカを中心に猛威を振るったエボラ出血熱の死者数1万1,308人(2014~2016年)を上回ったことに懸念を表明している。

一方、アフリカ開発銀行(AfDB)は7月7日、アフリカ各国が新型コロナウイルス対策と経済活動再開に当たってのリスク管理を適切にできれば、「ポスト・コロナ」におけるアフリカの経済成長は、2020年の影響が最も深刻であった場合のシナリオであるマイナス3.4%から、2021年には3%台に回復する可能性があるとの見通しを発表した。今回の発表はAfDBが2020年1月30日に発表した「アフリカ経済見通し2020」を補足するもので、当初は2020年の経済成長を3.9%、2021年は4.1%と予測していたが、大幅に下方修正した。

ただし、このままでは特にアフリカ西部、中部を中心にさらに4,900万人の国民が新型コロナウイルス感染の影響とその余波によって極端な貧困に陥る可能性があるため、各国政府や開発援助機関らに対して、より協調して、集中的かつ迅速に対策に取り組むことを促している。また、アフリカ全体では2020年にGDPで1,455億~1,897億ドル喪失する見込みで、特に観光、運輸、エンターテインメント産業は回復に他分野よりも時間を要する可能性があるとしている。

AfDBのチャールズ・レイェカ・ルフンパ・主任エコノミスト代行(兼経済ガバナンス・ナレッジ・マネジメント副総裁)は、アフリカ各国で急速な経済活動再開の動きが出ていることを踏まえ、経済活動の急速な再開は国民の命の安全とトレードオフ関係にあることを政策立案者は十分に認識する必要があると警告し、セクターごとに感染リスクをよく吟味した上で段階的な経済再開のためのアプローチを経るべきと述べた。またアフリカ各国の医療態勢を評価した結果、新型コロナウイルス感染拡大を抑えるに足る医療態勢が整った国はアフリカ54カ国中半数に満たない21カ国のみであることにも警鐘を鳴らしている。

(堀田萌乃)

(アフリカ)

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