新型コロナウイルスでGDP成長率、第2四半期に前期比年率マイナス41.2%

(シンガポール)

シンガポール発

2020年07月17日

貿易産業省(MTI)は7月14日、2020年第2四半期(4~6月)のGDP成長率が、前期比年率でマイナス41.2%(季節調整済みの速報値、注)と発表した。新型コロナウイルスの国内経済への影響の深刻化を受けてGDP成長率は、第1四半期の3.3%減から一段とマイナス幅が拡大した。この結果、2期連続、マイナス成長の「テクニカルリセッション(技術上の景気後退)」入りが確定した。

第2四半期のGDP成長率は、前年同期比では12.6%減だった。同国では新型コロナウイルス感染防止対策のため4月7日から6月1日まで必須サービス以外の職場閉鎖(サーキットブレーカー)を実施。6月2日からは3段階で閉鎖を解除しており、6月19日からほぼ全ての経済活動の再開を認める第2段階(フェーズ2)となっている。MTIは、第2四半期のGDP成長率の落ち込みは、この職場閉鎖に加え、新型コロナウイルスの世界的な大流行(パンデミック)で国際経済の減速が一段と進み、外需が弱体化したことによるものとする。

分野別では、製造業は第2四半期に前期比23.1%減と、第1四半期の45.5%増から2桁のマイナス成長に落ち込んだ。建設も前期比95.6%減となった。これは、職場閉鎖期間中には建設活動が中止となったほか、低熟練外国人労働者向けの宿舎で新型コロナウイルスの感染が拡大して労働者が不足したことによる。また、サービスも、観光や小売り・飲食、卸売取引などの大幅な活動落ち込みに伴い、前期比37.7%減だった。

MTIは新型コロナウイルスの深刻化を受けて、2020年に入り3回、GDP成長率の見通しを下方修正しているが、今回の発表では予測の修正を行わなかった。同省は5月に、2020年通年のGDP成長率予測を「前年比7.0%減~4.0%減」と、これまでの予測「4.0%減~1.0%減」から大幅に下方修正し、建国以来最低の成長率となるとの見込みを明らかにしていた(2020年5月28日記事参照)。

同国で7月13日までに確認された新型コロナウイルスは4万6,283人に上った(うち、26人が死亡、1人が重篤、4万2,541人が回復)。

(注)2020年第2四半期のGDP成長率の速報値は2020年4~5月の統計に基づく数値。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 a401978feae6408b