新型コロナで打撃の観光、地元客誘致で支援

(シンガポール)

シンガポール発

2020年07月29日

シンガポール貿易産業省管轄下の観光庁(STB)、企業・産業振興機関エンタープライズ・シンガポール(ESG)と、セントーサ開発公社(SDC)は7月22日、総額4,500万シンガポール・ドル(約34億9,000万円、Sドル、1Sドル=約77.5円)の予算を投じて、国内観光を振興する「シンガポール再発見」キャンペーンを開始すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国規制により、打撃を受けた国内観光産業の支援として地元住民を対象に、観光、ビジネス、eコマースなどの関連団体が連携し、観光パッケージやプロモーションを提供する。

同発表によると、国内観光推進の支援対象となる業種・業態は、小売り、飲食、ホテル、ツアーや娯楽施設。まず第1弾として約40社が約80件のホテルやツアー、アトラクション施設の割引やパッケージなどを提供(注)。それらに加え、インフルエンサーを活用したSNSでのキャンペーンを展開すると同時に、地元文化、自然、歴史など国内の魅力を「再発見」するツアーなどが企画される。

同国では新型コロナウイルスでの感染防止のため4月7日から、動物園やカジノ付設型統合リゾート(IR)など観光施設やホテルが閉鎖されていたが、7月1日より、営業認可を受けた観光施設が段階的に再開している(2020年7月13日記事参照)。STB最高経営責任者のキース・タンは発表の中で、「海外旅行と消費者の信頼が回復するには時間がかかる」と指摘。その上で「このキャンペーンを通じて、シンガポール人が新たな視点で、短い休暇を利用して、自分の国を再発見し、地元のビジネスを支援するよう願っている」と述べた。

2019年に同国を訪れた外国人来訪者数は1,911万人、観光収入が277億Sドルと過去最高を記録。しかし、新型コロナウイルスの影響で3月23日から外国人短期渡航者の入国を全面的に停止していたことから、5月の訪問者数は前年比99.9%減少の880人に落ち込んだ。この影響で、大型観光施設で大量解雇が報じられるなど、観光関連産業の多くが影響を受けている。

(注)STBが支援する各社のプロモーションについては、特設サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、または専用のアプリ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(南原将志)

(シンガポール)

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