500億ユーロ規模の経済再建パッケージを承認

(スペイン)

マドリード発

2020年07月09日

スペイン政府は7月7日、経済再建と雇用回復を掲げ、総額500億ユーロにのぼる支援法を施行外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月の警戒事態宣言直後に発表された新型コロナウイルス緊急支援策(2020年3月24日記事参照)は主に景気悪化の食い止めに重点が置かれていたが、今回の支援パッケージは、投資や企業の財務強化、雇用創出が目標とされている。

基幹企業、海外進出大企業への支援に軸足

金額的に最も大きな措置は400億ユーロの信用保証枠だ。3月にも企業の資金繰り支援で1,000億ユーロの信用枠が設けられたが、今回は一歩進んで、環境サステナビリティとデジタル化促進に関連する付加価値の高い生産設備投資を支援対象としている。

また、「新型コロナ禍」により一時的に経営難に陥ったインフラ・基幹企業の財務基盤強化のため、100億ユーロの資本注入基金を設立する。ホセ・ルイス・アバロス運輸相は7日、航空企業などが同基金による支援対象となるだろうと述べた。

輸出・海外進出企業への支援としては、3月に中小企業向けに20億ユーロの保証枠を設けたが、企業規模を問わず資金調達難が広がりつつある中、今回はその対象を大企業にも拡大した。

ガソリン車やディーゼル車購入にも使える「新車買い換え補助金」

今回の支援パッケージには、自動車産業や観光業向けの包括的な産業支援にかかる重要措置も盛り込まれた。

自動車産業については、2億5,000万ユーロの新車買い換え補助金制度を導入。1台当たりの補助額は原則300~4,000ユーロとなり、電気自動車だけでなく、ハイブリッド車、ガソリン車、ディーゼル車の購入にも適用され、自動車市場の低迷に対し、消費をてこ入れすることにより雇用を守る。

観光産業向けには、デジタル化やイノベーション投資助成金として2億1,600万ユーロ、その他、農村部や内陸部の過疎地域の観光開発、困窮事業者に対する観光不動産担保ローンの返済猶予などの支援を行う。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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