6月のインフレ率は2.2%、年率は42.8%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年07月21日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は7月15日、6月の月間インフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕は2.2%(年率42.8%)だったと発表した(添付資料図参照)。政府は、3月20日から新型コロナウイルス感染拡大による公衆衛生上の緊急事態による外出禁止措置を講じており、その影響もあり、4月と5月のインフレ率は1.5%の低い伸び率にとどまっていた。6月はそれに比較してやや上昇となった。

6月の月間インフレ率を分野別にみると、前月に引き続き、衣類・靴類分野の上昇率が6.6%と最も高かった。その背景には、衣替え需要といった季節的な要因があると分析されている。食品・飲料(酒類を除く)部門は前月比1.0%と、前月に続いて月間インフレ率を下回った。3月から販売上限価格制度が導入され、食料品をはじめとした生活必需品の一般消費者向け販売価格の据え置きが義務付けられている。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う措置として、公共料金の凍結などインフレ抑制策も行われている。

一方で、現地メディアやエコノミストは、このトレンドが中長期的に続くことについて懐疑的だ。7月14日付の現地紙「iプロフェッショナル」は、インフレが低く抑え込まれているのは、外出制限や価格統制など緊急的措置によるもので、それらの措置が新常態によって解除された後の反動が警戒される、と指摘している。また、反動に対する措置が明らかになっていないことも、市場の不安を生んでいると分析している。

中央銀行のインフレ率予測では、月間インフレ率は引き続き短期的には抑制されるものの、長期的には上昇する見通しとなっている。今後12カ月間のインフレ率では、52.5%と前回よりも1.5ポイント高くなっている(2020年7月7日記事参照)。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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