上海汽車と宝武鋼鉄が水素ステーション建設などで協力

(中国)

上海発

2020年07月21日

上海汽車集団(以下、上海汽車)と中国宝武鋼鉄集団(以下、宝武鋼鉄)は2020年7月15日、上海市で包括的な戦略協力枠組み協定(以下、協定)に署名した。両者は今後、水素エネルギー利用、自動車総合材料、スマートサプライチェーン、産業金融などの分野で協力を行っていくとしている。

水素エネルギー分野の協力については、呉●(サンズイに松)水素エネルギー産業園(以下、産業園)と、A30環状高速道路および浦東新区の臨港から江蘇省南通市に至る水素回廊(注)という「一園二回廊」を共同でつくり上げるとしている。

産業園は、国家級の水素エネルギー産業モデル区として、上海市宝山区にある宝山呉松工業園を中心とした15万平方メートルの敷地に、長江デルタ水素エネルギー産業集積センターを共同で構築するとしている。「上海市の新たなインフラ施設の建設を推進するための行動方案(2020~2022年)」(2020年5月18日記事参照)における水素エネルギー発展計画の求めに応じ、産業園内に2025年までに10~20カ所の水素ステーションを建設するとしている。

協定によると、宝武鋼鉄は水素の製造、貯蔵、輸送、充填(じゅうてん)などの強みを生かし、上海汽車に燃料電池スタックとシステム開発およびレンタカーなど水素利用と関連サービスを提供するとしている。また、宝武鋼鉄は、燃料電池車の具体的な試験利用シーンと水素エネルギー充填など設備を提供していく。

上海市を含む長江デルタでは、2019年5月24日に「長江デルタ水素ベルト建設発展計画」が発表されたが(2019年6月18日付地域・分析レポート参照)、今回の協定の内容はこの発展計画にも沿うものとなっている。上海汽車、宝武鋼鉄などの国有企業も本格的な水素エネルギーインフラの建設に乗り出すなど、長江デルタ地域では水素エネルギー導入に向けた発展計画が着実に実施されている。

(注)水素回廊とは、水素ステーションを設置した高速道路を指す。

(高橋大輔)

(中国)

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