感染者累計22万人超、感染の中心は最大州ハウテン州に移行

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年07月10日

南アフリカ共和国保健省は7月8日、新型コロナウイルスの新規感染者が8,810人、感染者累計が22万4,665人に達したと発表した。同日のジョンズ・ホプキンス大学の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、南アの感染者累計はドイツ、フランスを上回り世界13位となった。アフリカ54カ国中最多だ。

南アでは3月末から実施されたナショナル・ロックダウンの経済に与える影響が深刻なことから、段階的に経済活動の制限を緩和(2020年6月22日記事参照)してきたが、それに伴い感染者が急増した。7月に入ってからは1日当たりの感染者が1万人を上回る日も出ている。

これまで国内の感染の中心はケープタウンを中心とする西ケープ州だったが、8日の発表で最大都市ヨハネスブルクなどを擁し、人口が最も多いハウテン州の感染者数累計(全体比33.4%)が西ケープ州(同32.6%)を上回り、同日の新規感染者の約4割がハウテン州となるなど同州での感染拡大が鮮明だ。日系企業の多くも同州に拠点を置いていることから、操業への影響も懸念される。

ズウェリ・ムキゼ保健相は7月8日、公式会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、感染拡大が続いているハウテン州と東ケープ州では、今後4週間以内に病床が不足すると警戒感を示し、政府はさらなる病床の確保が必要であることを明らかにした。このため政府は「急増(surge)戦略」を策定し、医療キャパシティを拡大して感染拡大に対応すると述べた。また、同相は南アの感染のピークは、5月に国立感染症研究所(NICD)が発表した感染予測モデルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の楽観的シナリオ(ピークが遅く、1日の感染者数が少ないケース)とほぼ同じく8月中旬ごろになると述べた。

現地では感染拡大への懸念や医療提供態勢の逼迫などは度々報じられているが、今のところ社会的な混乱は見られない。国境はロックダウン開始以降、物流や在留外国人・在外南ア人の本国帰還などを除いて閉鎖が続き、国際商業便の運航も再開されていない。他方で、内務省は7月3日付の官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、事前に内務省に申請し、承認を得た外国人の南アへの入国を例外的に認める通達を行ったが、今後の実際の運用についてはまだ不透明な状況だ。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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