ハバロフスク知事代行、現地での関係構築が重要との見方

(ロシア)

モスクワ発

2020年07月27日

ハバロフスク地方のセルゲイ・フルガル知事がプーチン大統領によって7月20日に更迭され、臨時代行としてミハイル・デグチャリョフ下院議員が任命された(2020年7月22日記事参照)。デグチャリョフ氏の評価や現地情勢の見通しについて、ジェトロは2人の現地有識者に聞いた(7月21日)。

現地有識者は、デグチャリョフ氏がハバロフスクで適応するにはフルガル氏を支えてきた関係者からの協力がカギになると指摘した。大統領の任命の狙いについては、敢えて自民党所属者を後任に充て、自民党やデグチャリョフ氏を試したとの指摘があった。

○在ウラジオストク政治ジャーナリスト アンドレイ・カラチンスキー氏

デグチャリョフ氏は、反発が続くハバロフスクの情勢を緩和し、住民をなだめるために送り込まれた。彼は今後のキャリア形成のための絶好の機会を得たと言えるが、大統領に任命されるや否や、彼に対する集団的な批判が起きた(デグチャリョフ氏のインスタグラムのアカウントには、「あなたはハバロフスクでは歓迎されない」という数多くのコメントが投稿された)。

フルガル知事逮捕に対する抗議デモは、ハバロフスク地方で自民党が支持を得ていることを意味してはいない。このため自民党としてはクリーンなバックグラウンドを持つ新しい候補としてデグチャリョフ氏を紹介する良い機会となろう。

地方政府幹部や有力者など地元エリート層は、デグチャリョフ氏を受け入れざるを得ない。フルガル氏の責任をどの程度にするか水面下で交渉する機会があるだろうし、反発しすぎると彼ら自身が排除されるリスクがあるからだ。

○極東連邦大学地域・国際研究学部准教授/政治評論家 ビクトル・ブルラコフ氏

大統領は自民党員を任命するというやや安易な選択肢を取った。プーチン大統領は自民党に対し、「(フルガル氏を擁立して知事選で勝利した自民党が)ハバロフスク地方をキープしたければそれでよい。デグチャリョフ氏が地元の反発を沈静化し、社会経済状況を改善させればそれは評価しよう。しかし失敗すれば後任として他の人を充てる」というメッセージを投げかけた。

ハバロフスク出身ではないデグチャリョフ氏が、さまざまな利益を有する地元エリート層と対話の糸口をつかむのは非常に困難だ。自治体を統治した経験もない中で状況をすぐに変えるのは難しい一方で、デグチャリョフ氏が早急に結果を出したいのは明らかだ。フルガル氏を支えてきた関係者の協力が得られればハバロフスクで根を下ろしやすい。しかし全体としてはデグチャリョフ氏、ハバロフスク地方の両者にとって困難で不透明な状況には変わりない。

(タギール・フジヤトフ)

(ロシア)

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