成都市、文化教育・観光、金融、物流、都市建設の分野で日本企業の参入に期待

(中国)

成都発

2020年07月06日

成都市政府は6月23~24日、上海市内で「2020年成都対日開放協力プロモーション活動(上海)」を開催した。同市が日本との協力を期待する文化・教育・観光、金融、物流、都市建設の分野について、成都市側から市内の各種プロジェクトの概要や現地でニーズのある日本企業との協業内容が紹介された。

日本側からは旅行会社、銀行、物流会社、商社、不動産会社、自治体など、138社・団体から198人が参加した。成都市側は劉篠柳副市長、劉玉泉副市長ほか、商務局、文化広電観光局、地方金融監督管理局、口岸物流弁公室、住宅都市農村建設局、交通運輸局、経済開発区などが出席した。

写真 劉篠柳成都市副市長の発表の様子(ジェトロ撮影)

劉篠柳成都市副市長の発表の様子(ジェトロ撮影)

成都市の両副市長は、成都市には326社の日系企業が進出しており、日本企業にとって今後もさまざまな分野でビジネスチャンスがあると述べた(注)。成都市が日本の参画を期待する分野として、(1)医療・健康(介護サービスなどを含む)、(2)生態環境、(3)文化・教育、(4)観光、(5)科学技術、(6)物流、(7)金融、(8)都市建設の8分野を挙げた。

現在、成都市内各地で交通インフラなどの都市建設が急速ピッチで進められている。住宅都市農村建設局によると、2010年に1号線が開通した地下鉄は2019年末までに7路線が運行され、総距離は302キロメートルに及ぶ。2020年には総距離を515キロメートル、2035年には1,699キロメートルにまで延伸させる計画だ。

また、現在、105カ所のターミナル駅では公共交通指向型都市開発(TOD)が計画されている。成都市で地下鉄の建設や運営を手掛ける成都軌道都市発展集団は、同社の日系企業との連携事例として、日建設計による都市設計や、蔦屋書店の出店プロジェクト、地下鉄車両や自動改札システムで日本企業の設備、部品などが採用されていることを紹介し、都市建設の中で日本企業に期待する分野は多岐にわたると述べた。

日本のソフト、コンテンツ産業との協業に対する期待も高い。成都市は、中国で人気のオンラインゲームのひとつ「王者栄耀」(日本版は「伝説対決」)の開発チームや、2019年に上映された中国国産アニメ「ナタの魔童降世」の制作会社があることで知られている。2020年4月には国家発展改革委員会が成都市にアニメや文化などのクリエーティブ産業を柱とした日中モデル区の設立を支援する方針が示されている。

成都市では近年、さまざまな分野で、企業や経済団体、自治体などとの交流の幅が広がりつつある。四川省政府や成都市政府の幹部による訪日が相次ぎ、また、2018年には成都市と札幌市とが友好交流の覚書を締結、2019年には科学技術振興機構(JST)による日中大学フォーラムや、神戸医療産業都市推進機構医療イノベーション推進センターなどによる「日中先進医療・新薬研究サミット」が成都市で開催された。2019年末には日中韓首脳サミットおよび日中首脳会談が成都市で行われ、日本からは安倍晋三首相が成都市に来訪した。

成都市政府としては、日本との交流強化にいっそう弾みをつけたいとの意向だ。新型コロナウイルスの影響で、日中間では人の往来をはじめとするさまざまな活動が制限される中、成都市政府としては、中国の沿海部に既に進出している日系企業へのアピールを強化していく方針だ。

(注)劉篠柳副市長の発表内容詳細は、ジェトロのウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から確認できる。

(田中一誠)

(中国)

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