知的財産権の登録証を電子媒体で受領可能に

(ロシア)

モスクワ発

2020年07月27日

ロシアのプーチン大統領は7月20日、知的財産権の登録証を電子媒体で交付することを可能とする連邦法(2020年7月20日付連邦法第217-FZ号)に署名した。知的財産権について規定する民法を改正したもので、法律が公布された日から満180日後(2021年1月17日)に発効する。ロシア特許庁は連邦政府が進める国家プロジェクトの1つの「デジタル経済」の中で知的財産分野のデジタル化を推進しており、その取り組みの一環とされる(「議会新聞」6月23日)。

電子出願は以前から導入しているが、登録証の交付はこれまで紙媒体のみだった。今後は原則として電子媒体で交付し、出願者の希望により紙媒体でも受け取れる。電子交付の対象は特許や実用新案、意匠、商標などで、秘密特許(注)は対象外。これにより、出願から登録証交付までオンライン上で完結するため利便性が向上する。

さらに、今回の民法改正により、特許や実用新案、意匠、商標、半導体の回路配置利用権の電子出願時に、3次元モデルのファイルが提出可能となった。3次元モデルは審査のみに使用され、公開はされない。3次元モデルのファイル形式と要件は経済発展省が策定する(「ノーボスチ通信」7月20日)。ロシア特許庁のグリゴリー・イブリエフ長官は「設計や開発の過程で3次元モデルを使用している企業にとって利便性があり、審査期間の短縮や審査の品質向上に役立つ」と述べた(「ロシア新聞」7月20日)。

(注)国の安全保障や政策上の重要な技術の国外流出を防ぐ目的で出願内容を非公開にするもの。

(戎佑一郎、エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア)

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