アエロメヒコ航空が米国連邦破産法第11条の適用を申請

(メキシコ、中南米)

メキシコ発

2020年07月02日

メキシコのアエロメヒコ航空は6月30日、米国連邦破産法第11条(チャプター11、日本の民事再生法に相当)に基づく会社再建の申請を行った。会社の事業を終了し、倒産処理を行う同法第7条と異なり、第11条は負債の削減などを目指して企業再建を行うことが可能であることから、事業の継続が前提となっている。同社社長のアンドレス・コネサ氏はウェブサイト上を通じて、「新型コロナウイルスの感染拡大は航空業界に前代未聞の影響を及ぼした。アエロメヒコはメキシコのナショナル・フラッグ・キャリアとして存続するために、自ら米国連邦破産法第11条の適用を申請した」と発表した。チャプター11を申請せざるを得なかった背景には、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により国内・国際線の大幅減便によって収入が急減したが、メキシコ政府から減税などの支援がほぼ得られなかったこともあるとみられる(「リポーター」紙6月2日)。

アエロメヒコの発表によると、2020年第1四半期(1~3月)の赤字額は約1,166億3,700万ペソ(約5,482億円、1ペソ=約4.7円)だった。さらに4月と5月の旅客数は前年同期比97%減となり、運営資金難となった。ただし、財政再建のためにパイロットや地上スタッフなどの人員整理は実施せず、7月より国内線を6月の2倍、国際線を同4倍に増便することで収益増を目指すとしている。なお同社は、第11条適用申請の前日、自社の航空マイルクレジットのシステムを共同運営している、カナダのアイミア(AIMIA Inc)からの1億ドルの融資が合意に至り、アエロメヒコとAIMIAの現行契約を20年延長(2050年まで)すると発表していた。

中南米の航空会社が相次いで米国連邦破産法第11条の適用を申請

中南米の大手航空会社であるコロンビアのアビアンカ(Avianca)とラタム(LATAM)は、それぞれ5月に米国連邦破産法第11条の適用を申請した(2020年5月13日記事参照)。両社とも南米有数の航空会社だが、稼ぎ頭である国際線の需要激減によって財政難に陥った。今後は人員整理や他航空会社からのつなぎ融資を受け、事業を継続していくとのことだ。また米州の74都市に就航しているコパ(Copa)航空も大きな影響を受けている。同社は北米大陸と南米大陸の結節点であるパナマのフラッグ・キャリアだが、6月23日にパナマ政府が商用の国際線離発着の禁止を7月22日まで延期すると発表したことから、従業員の退職を促すなどして経営を保つ手段を取っている。

(志賀大祐)

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