四川省と重慶市、自動車産業拠点プラットフォームの共同建設で合意

(中国)

成都発

2020年07月14日

四川省経済・信息化庁は6月29日、重慶市経済・信息化委員会と共同で成都市にて「成渝地区双城経済圏自動車産業合作(協力)活動」を開催した。双方は「成渝地区双城経済圏自動車産業協同発展戦略合作協議」(以下、合作協議)を締結し、自動車産業拠点プラットフォームの共同建設で合意した。締結に当たっては、四川省、重慶市の政府関連部署、経済開発区のほか、両地域から自動車メーカー200社および部品メーカー、技術研究機関の代表者らが出席した。

四川省経済・信息化庁の朱家徳主任は、自動車分野における両地域の連携として、技術イノベーションプラットフォームの構築、自動車がネットにつながるコネクテッドカーの応用、水素燃料自動車の専用路線の開通などを挙げた。

2019年の重慶市の自動車生産台数は138万3,000台、四川省は111万7,000台、両地域の合計では約250万台となった。中国の自動車生産台数(2,552万8,000台)に占めるシェアは約9.8%まで高まった。重慶市には元々軍需産業や二輪車産業の基盤が存在したことで、長安汽車、長安フォード、北京現代などの有力自動車関連企業が集積している。四川省には、一汽トヨタをはじめフォルクスワーゲンやプジョー・シトロエンなどの外資系自動車メーカーが進出、自動車産業が急成長している。2019年8月、ボルボ・カー・グループ傘下の高級新エネ車ブランドであるポールスターは、成都市で新工場を完成させた。

近年は、両地域政府による新エネ車普及、コネクテッドカー支援政策が相次ぎ実施されている。重慶市政府は2022年までの目標として、新エネ車の生産規模を40万台/年、コネクテッドカーの生産規模を120万台/年と定め、新エネ車とコネクテッドカーの国内有数の研究・製造基地を目指している。四川省政府も6月28日、新エネ車の生産・開発企業に対し最高で2,000万元(約3億2,000万円、1元=約16円)の補助金支給などを盛り込んだ「四川省新エネ車とスマート自動車産業の発展に向けた若干政策」(意見募集稿)を公布、意見募集を実施している。また、コネクテッドカーの研究・テストを行うため、成都経済技術開発区とシーメンスの共同による「中国-ドイツコネクテッド・新エネルギー車(成都)エンジニアリングセンター」の建設も進められている。

四川省と重慶市の一体化により、技術開発の強化、国内外での売り上げ増加、サプライチェーンの多元化などのプラス効果が予想されており、両地域の自動車メーカー、部品メーカー、研究院などの連携で技術開発リスク軽減、費用・コストの分担、標準化構築なども期待できる。また、今までコア部品の調達には四川省、重慶市以外の企業の製品を使用していることが多かったが、今後両地域は汎用(はんよう)部品だけでなく、特殊設計部品も共同で開発し、域内調達を増やしていく方針だ。

(王植一)

(中国)

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