モロッコ国王が即位記念日を前に演説、経済回復に1兆円超の予算投入

(モロッコ)

ラバト発

2020年07月30日

モロッコのモハメッド6世国王が国王即位記念日の前日となる7月29日、国民に向けてスピーチを行った。国王は、「コロナ禍」で活動する関係当局、医療従事者、軍関係者や食料生産・流通に携わる全ての労働者、新型コロナウイルスに立ち向かう全ての人々への感謝の意を表した。同時にこういった努力にもかかわらず、依然、新型コロナウイルスが国内の健康・衛生や社会、経済に深刻な危機をもたらしているとした。

3月15日に創設を発表した約337億ディルハム(約3,876億円、1ディルハム=約11.5円)の特別基金(2020年4月14日記事参照)はこれまで約246億ディルハム(約2,829億円)が支出され、社会支援策や医療設備・機器に充てられていると発表した。また、危機に立ち向かうため、積極的な経済回復策の立ち上げ、生産部門の回復、雇用機会の提供、収入源を維持することが重要であり、このために政府が1,200億ディルハム(約1兆3,800億円)の予算を投入すると発表した。今後、生産活動を刺激し、さまざまな分野における官民投資プロジェクトを支援するための戦略的投資基金を設立することも伝えた。

スピーチの後半では、今後5年間で国民への社会保障制度を拡充・充実させていくことを掲げた。

(石橋洋一郎)

(モロッコ)

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