ドミニカ共和国大統領選挙、野党勝利で16年ぶりの政権交代へ

(ドミニカ共和国)

メキシコ発

2020年07月07日

ドミニカ共和国で7月5日、同国の正副大統領および国会議員選挙が実施された。今回の選挙は5月17日に行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中央選挙委員会(JCE)が4月13日に実施延期を発表していた(2020年4月15日記事参照)。JCEの7月5日付発表によると、野党・現代革命党(PRM)の候補である実業家のルイス・アビナデル氏が得票率52.51%(開票率82.96%時点)で過半数を占め、勝利した。対立候補である与党・ドミニカ解放党(PLD)のゴンサロ・カスティジョ前公共事業通信相の得票率は37.69%だった。新大統領の就任式は8月16日で、任期は4年。なお、現職のダニロ・メディナ大統領は現在2期目であるため、同国の憲法規定上、立候補できなかった。

メディナ大統領の所属する与党PLDは2004年から政権を握っているが、アビナデル氏の勝利によって、16年ぶりの政権交代が確定した。また、7月6日時点で国会議員選挙の結果は発表されていないものの、出口調査のアンケートでは野党支持層が約6割を占め、議席数は飛躍的に増加するとみられる(「エル・ムンド」紙7月5日)。現在の議会では、上院32議席のうちPLDが26議席を占め、PRMは1議席のみだ。また下院も、190議席のうちPLDが106議席、PRMは17議席で、与党主導の政治になっている。

今回の選挙戦は、新型コロナウイルス対策と与党内の汚職が争点だった。米国ジョンズ・ホプキンス大学のデータよると、7月5日時点のドミニカ共和国の感染者数は3万7,425人、死者数は794人で、人口10万人当たりの感染者数は345.5人と、ブラジルやメキシコを上回っている。アビナデル氏は、感染拡大に備えた医療体制の拡充などを訴えた。汚職問題では、予算執行の透明性の確保などを主張した。

(志賀大祐)

(ドミニカ共和国)

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