2019年の投資、物流・農産品加工・建設で大型案件、2020年1~5月期も拡大基調

(コートジボワール)

アビジャン発

2020年07月29日

コートジボワール投資促進センター(CEPICI)によると、2019年の認可ベース投資案件(注)は、前年比で件数は35件減の239件、金額は3.8%増の7,300億CFAフラン(約1,460億円、1CFAフラン=約0.2円)と過去最大を更新した。投資額の増加は、物流事業の大型案件が寄与したことによる。

業種別では、サービス業が構成比33%を占めて最大だった。次いで、政府の奨励策によりカカオとカシューナッツを中心に現地加工率の向上を目指す農産品加工(構成比30%)、インフラ整備の進展や経済活動の活発化で需要が高まる輸送・倉庫業(16%)、大型公共事業の進展による建設・土木事業(4%)、建設関連サービス(4%)、国内と周辺諸国の需要増加によるプラスチック製造(2%)が上位を占めた。

国・地域別では、国内資本が投資額の40%を占めている。外国資本では、フランス(構成比20%)が最大で、次いで、オランダ(17%)、モーリシャス(3%)、レバノン(3%)、中国(2%)、モロッコ(2%)、シンガポール(2%)、トルコ(2%)、ケイマン諸島(2%)など、投資元は41カ国・地域となった。従来の欧州諸国に加えて、最近ではアフリカや中東諸国の攻勢が目立っている。

主な案件は、コートジボワール・ターミナル(フランス、オランダ)による第2コンテナ・ターミナル事業、アジリティ・ビジネス・パーク(オランダ)の総合ロジスティクス事業、COTRAF(レバノン)の綿油製造、SG AGRO(中国)の農産品加工、トルコ企業によるセメント製造、建設・土木事業などがある。

国家開発計画の重点施策である民間分野の促進に向けた経済改革の進展により、投資環境が改善され、投資の拡大基調が続いている。2019年は、市場拡大が見込まれる運輸・倉庫業や建設・土木事業、農産物加工などの分野で大型投資がみられ、投資パートナーの多様化とともに、投資の裾野が広がってきている。

コートジボワールでは従来、安定した水や電力の供給、インフラ整備の優位性から地域拠点を構える外国企業が多いが、特に近年、西アフリカ地域の経済統合プロセスの進展や、EUとの暫定経済連携協定を見据えた企業の動きも活発化している。

CEPICIのエスメル・エマニュエル・エシ長官によると、2020年に入っても投資は好調を維持している。新型コロナウイルスの影響に加えて、10月には大統領選挙があるが、1~5月期の認可ベース投資案件は、エネルギーや運輸・倉庫業、農産物加工などを中心に、前年同期比26%増加している。従来、選挙が実施される年は、内政混乱や治安悪化によるカントリーリスク拡大が予想されることから、投資計画の凍結や縮小の動きがみられ、投資が冷え込む傾向にある。また、土地収用の問題で工業用地の整備に遅れが出ており、供給不足が懸念される。

 (注)鉱物資源・石油・ガス探査と開発、不動産、金融・保険サービス部門を除く。商業、輸送は5億CFAフラン以上の案件のみが対象。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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