2020年の経済成長率は通年でマイナスとなる可能性

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年07月03日

インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は6月22日、第3四半期(6~9月)の経済成長率が1.4~1.6%のマイナス成長になる可能性があると発表した。同相によると、第2四半期の経済成長率はマイナス3.1~3.8%となり、第3四半期も経済が低迷すれば通年で景気後退となる見込みだ。インドネシアでは4月から導入されている大規模社会制限(PSBB)により、ジャカルタ首都圏などでショッピングモールや事業所などが約2か月間閉鎖された。その後、6月初旬から閉鎖措置は緩和されているが、依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大は収束に向かっていない。

経済活動制限が国内消費、輸出入に強く影響

CNNインドネシアの6月25日の報道によると、インドネシア中央統計庁(BPS)は6月22日、景気後退の兆候として、国民の所得、消費、輸出入額について明らかな減少が見られるとした。同庁の調査によると、経済活動の一時的な制限措置の影響で、1カ月当たりの所得が180万ルピア(約1万4,000円、1ルピア=約0.0076円)以下の低所得層の約7割、720万ルピア超の中間所得層の約3割で収入が減少した。自動車販売台数に関しても前年同期比1~3月に約4割、4~5月に約9割、それぞれ低下し、二輪車販売台数も同期間で前年同期比約2割、約9割減となった。航空機利用者数については、1~3月に約1割減少し、4~6月に約9割減少する見通しだ。5月の輸出、輸入金額はそれぞれ前年同期比で約3割、約4割減少した。上記のとおり経済活動を示す数値が軒並み減少傾向であることを受け、BPSのスハリヤント長官は、第2四半期の経済成長率は上述の財務相の発表よりも悪化する見方を示している。

IMF、世界銀行はそれぞれ6月に発表した経済見通しにて、インドネシアの2020年通年の経済成長率をマイナス0.3%、0.0%と予測している。両機関の予測では経済成長率は21年に6.1%、4.8%に上昇するとしている。

(山城武伸、デシー・トリスナワティ)

(インドネシア)

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