日本の中小企業の中国市場開拓を支援、大連の越境ECサイト運営業者に聞く

(中国)

大連発

2020年07月15日

中国・大連市で2019年、越境ECサイト「Eddimall(エディモール)」を立ち上げ、日本の中小企業の中国市場開拓も支援している大連国際貨運有限公司の徐莉取締役に、サイトの概要や支援内容等について聞いた(7月2日)。概要は以下のとおり。

(問)サイトを立ち上げたきっかけは。

(答)高品質の日本製品は中国で人気が高い一方、中国市場を目指す日本の中小企業からは「一般貿易だと価格が高くて売れない」「中国大手ECサイトへの参入にはハードルが高い」などの声が多く、これら中小企業の中国における市場調査や販路開拓ニーズに応えることがこの事業を始めたきっかけの1つだ。

(問)サイトの概要は。

(答)Eddimallは大連税関が認可した越境ECサイトで、大連国際貨運の子会社の大連愛迪貿易有限公司が2019年9月から運営している。6月末現在、873SKU(SKU=在庫管理する際の最小単位)の商品を取り扱っており、うち外国製品が75%を占めるが、日本からの輸入品の割合は7割超と最も多い。日本製品は越境ECと一般貿易で輸入した商品がそれぞれ約半数ずつとなっている。オンラインで注文を受け付け、越境EC商品は、大連市に所在する当社の保税倉庫から購入者の指定した場所に配送する仕組みだ。

(問)日本の中小企業向け支援内容は。

(答)主に山口銀行と連携し、日本側の窓口は同行と同行が連携するメイク(広島市)が担当する。日本企業は貨物を日本国内の指定倉庫に搬入するだけで済み、輸出手続きやサイト運営などはメイクと大連愛迪貿易が担当する。大手ECモールと比べ、Eddimallはイニシャルコストも比較的割安となり、年会費なども不要、2年目以降のランニングコストもPL保険料のみだ。月間の販売実績の報告と売上代金の振込はメイクから出品者に対し行う。6月末現在、このルート経由で出品した日本企業数は41社、140SKUだった。

(問)売れ筋商品は。

(答)取扱商品は化粧品や食品、日用品、ベビー・マタニティー用品など幅広い。日本製品の売れ筋はシャンプー、リンス、フェースパック、化粧品、調味料だ。一方で、高価格帯の陶器や掛け軸などは売れ行きが悪い。2020年上半期の売り上げは順調で新型コロナウイルスの影響は少ない。サイトの登録会員数は約8万6,000人で、うちアクティブユーザー数は約6,000人いる。多くは大連に住む35~45歳の女性で、安定した収入があり、かつ美や生活の質の向上を求める層だ。

(問)大手ECサイトとの差別化は。

(答)中国市場で初めて展開する多種多様な商品ラインアップが主な特徴だ。ただし、初展開の商品は知名度が低いため、詳細な商品説明やライブコマースを活用し、消費者の認知度向上を図っている。既に知名度が高い製品は、大手ECサイトとの価格競争力がないため、Eddimallの商品は全て本物で安心して購入できることを積極的にPRしている。

(問)今後の事業計画は。

(答)大連市は日本との交流が盛んで、日本製品に対する受容度が高い。今後は大連市でのEddimallの知名度をさらに引き上げるべく、地元メディアや大手ショッピングモールとの連携を強化し、露出度を増やしていく。また、2020年下半期はTikTokや小紅書など人気のプラットホームを活用した宣伝を強化していく。さらに、日本製品の取扱数の拡充を図り、現在比較的品ぞろえが少ない食品などを中心に取り扱いを増やしていく方針だ。

(呉冬梅)

(中国)

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