国内製造業、新型コロナ対策の緩和で徐々に回復へ

(フィリピン)

マニラ発

2020年07月09日

フィリピン統計局は7月7日、製造業の5月の活動状況を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。製造業生産指数は前年同期比42.1%減と低迷が続いているが、前月(同45.5%減)に比べると若干改善した。業種別で見ると、石油製品(同92.1%減)、輸送機械(同80.3%減)、アパレル・履物(同78.7%減)をはじめ、20の主要業種で軒並み減少している。また、5月の生産設備稼働率は73.4%で前月の71.2%から若干改善した。とりわけ、木材加工や繊維、アパレル・履物、ゴム・プラスチック製品、電気機械の分野で稼働率が8割以上となり、全体を牽引している。

また、英国の調査会社HISマークイットは7月1日、フィリピンの製造業購買担当者指数(PMI、注)が、過去最低を記録した4月の31.6から、5月に40.1、6月は49.7と、着実に回復しつつあると報告した。フィリピンでは3月中旬から厳格な広域隔離措置が敷かれていたが、マニラ首都圏や近隣の工業地帯でも6月から大幅に規制が緩和されたため、製造業の回復も進んだ。進出日系企業も9割以上が操業を再開している(2020年6月22日記事参照)。

各種指標からは製造業の景気に底打ち感がみられるフィリピン経済ながら、長期にわたる経済活動の制限、海外出稼ぎ労働者からの送金減少などで、経済は重層的に打撃を受けており、需要の回復にはしばらく時間を要すると見られる。

(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(石原孝志)

(フィリピン)

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