新型コロナは93.2%の企業に悪影響、政府の支援は届かず

(メキシコ)

メキシコ発

2020年07月27日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は7月23日、「新型コロナウイルス感染症による企業に対する影響調査(ECOVID-IE 2020)」の結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。これは全国4,920社(大企業1,825社、中小企業1,360社、零細企業1,735社、農林水産業と鉱業関連事業所を除く)を対象に5月7日~6月12日に実施したアンケート調査で、新型コロナウイルス感染拡大により悪影響を被った企業の割合は93.2%に及んだ。

具体的な影響(複数回答)としては、売り上げ減少91.3%、需要縮小72.6%、製品・原材料の調達難33.9%、人員縮小15.4%、給与削減19.1%だった。売り上げ減少率の平均値は全体で56.3%だったが、大企業の27.7%に対し、中小企業は52.0%、零細企業は56.7%となっており、中小零細企業に深刻な影響が出ている。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて21日以上の操業停止を実施した企業は全体で46.7%に及び、3月31日付の保健省令上の「不可欠な活動」(2020年4月1日記事参照)で41.4%、「不可欠な活動」以外では50.5%だった。「事業継続のために何らかの対策を講じた」企業は60.2%で、対策の種類としては「宅配サービスの導入」が45.0%、「特別販売プロモーション」が33.8%、「テレワークの導入」が32.6%、「インターネット販売」が29.6%、「緊急信用・ファイナンスの設定」が19.9%、「新製品・サービスの考案」が8.5%だった。企業規模別にみると、従業員が250人を超える大企業では「テレワークの導入比率」が94.7%に達している。

支援を受けた企業は7.8%にとどまる

新型コロナウイルス感染拡大による深刻な影響を受け、政府や業界・社会団体などから「何らかの支援を受けた」と答えた企業は7.8%にとどまり、ほとんどの企業が何ら支援を受けていない状況が明らかとなった。支援の提供元については「政府(連邦、州、市町村)」が全体では88.8%だが、従業員10人以下の零細企業が政府と答えた比率(91.4%)と比べると、大企業は61.7%、中小企業は67.1%と低く、代わりに「業界・社会団体の支援」の回答比率がそれぞれ36.6%、26.6%と高くなっている。政府の企業向け支援は乏しく、零細企業以外にはほとんど届いていない。

「現在の危機下において求められる政策は何か」という問いに対しては、「公共料金の支払いの繰り延べ」が47.0%と最も高く、零細企業では48.0%に及ぶ。そのほか、「補助金支給」41.3%、「新規信用供与」41.0%、「税金支払いの繰り延べ」32.0%、「借金返済の繰り延べ」31.0%、「低利融資」30.1%、「税金減免」27.9%、「給与支払いへの補助」20.4%と続いた。大企業の回答率をみると、「税金減免」が60.0%と最多で、「税金支払いの繰り延べ」が59.4%、「給与支払いへの補助」が44.6%と高く、税務面や雇用確保に向けた支援を強く望んでいる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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