欧州金融安定基金、ギリシャ向け融資の返済優遇措置を継続承認

(ギリシャ)

ミラノ発

2020年07月20日

欧州金融安定基金(EFSF)の取締役会は7月7日、ギリシャが借り入れているEFSF融資におけるステップアップ金利2%を、2020年1月1日から同年6月17日までの間、免除することで合意した。減額分は1億364万ユーロに上る。

同融資は、債務返済用の資金として2012年にギリシャに融資されたもので、金額は113億ユーロに上る。2018年11月の同取締役会で決定された中期債務救済措置の下、2018年から2022年の期間、ステップアップ金利2%を免除する旨合意がなされた。ただし、この利息免除の適用には、ギリシャが主要な改革を継続して実行していることが評価されることが条件となっている。本評価は半年ごとに行われるが、今回の取締役会においても引き続き利息を免除することが決定したかたちだ。

なお、上記の利息免除措置に加えて、欧州安定メカニズム(ESM)から、欧州中央銀行などが買収したギリシャ国債の利益相当額、6億4,442万ユーロがギリシャに払い戻しされる見通しだ。本措置は、同じく中期債務救済措置において決定されている事項であり、証券市場プログラム(SMP)/国家金融勘定(ANFA)を通じて得られた利益となる。

ESMとESFSのトップであるクラウス・レグリング氏は、「2020年6月に実施されたユーロ圏財務相会合において、ギリシャ政府は公約を実現するため必要な措置を講じてきたことが確認された。これにより、資金解放の道が開かれた」と述べた。また、「ギリシャがその努力を継続し、金融部門での改革を強化することは重要だ」とした。

なお同氏は新型コロナウイルスについても言及。「ギリシャは他のEU諸国と同様、COVID-19のパンデミックによる被害を受けたが、ギリシャ政府は、ウィルスの拡散封じ込めおよび必要な経済・税制支援策を取ることにおいて、効果的かつ迅速に対応した」と評価した。

今回の措置は、第3次金融支援終了以降の(2018年7月11日記事参照)、3度目の債務救済支援措置となる。約10億ユーロに上る最初の債務救済処置は2019年5月に承認、実施されており、2度目となる7億6,600万ユーロは2019年12月に承認され、2020年1月に実施されている。

(井上友里、山崎杏奈)

(ギリシャ)

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