米ジョージア州、アトランタ市長が経済再開を自宅待機段階へ後退させるも、州知事は反対声明

(米国)

アトランタ発

2020年07月14日

米ジョージア州では、経済再開計画やマスク着用の義務化をめぐって、州と市の間で対応の不一致が生じている。

民主党の副大統領候補の1人としても名前が挙がっているアトランタ市のケイシャ・ボトムズ市長は、7月10日に市の経済再開計画を第2段階〔緩和(Easing)段階〕から第1段階〔自宅待機(Stay at Home)段階〕へ戻すことを発表した。同日のジョージア州の新規感染者数は、過去最多となる4,484人を記録した。また、同日更新された市の再開計画のガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの第1段階では、個人に対して必要不可欠な活動を除いて自宅待機を要請、公の場でマスクの着用を義務付ける(注1)とともに、第2段階で10人以下に限り認めていた集会を人数を問わず禁じている。飲食店や小売店に対しては、持ち帰り、カーブサイド・ピックアップ(注2)のみを認めている。

マスク着用の義務化については、アトランタ市以外にも、ジョージア州で最初にマスク着用を義務付けたサバンナ市はじめ複数の都市で導入されているものの、州全体では義務化されていない。

ボトムズ市長は6日に自身の無症状感染も報告しているが、「ジョージア州は無謀な方法で経済を再開させてしまい、アトランタ市とジョージア州の人々がその結果に苦しんでいる」と声明の中で語っている。

一方で、今回のアトランタ市長の発表に対してブライアン・ケンプ州知事は10日、ツイッターで、「ボトムズ市長の発表はあくまでガイダンスにすぎず法的拘束力を持たない。州知事令で明確にされているとおり、自治体は州知事令で定められている以上の厳しい制限、緩和制限いずれも取ることはできない。市長がアトランタでの感染拡大を本当に抑えたいのであれば、州が定める制限を実践すべきであり、市長はそれができていない」との反対声明を出しており、州と市の間で対立の様相を呈している。

なお、感染者数増加を受けて、テキサス州でも経済再開の見直しの動きが見られる(2020年6月29日記事参照)。

(注1)10歳未満の子供や健康上の理由でマスクやフェイスカバーの着用が困難な人、飲食中の人などは除く。

(注2)消費者がオンラインで注文した商品を実店舗の駐車場などで車から降りることなく受け取れるサービス。

(石田励示)

(米国)

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