政府が2020年度予算案発表、新型コロナ対策・経済回復主眼

(バングラデシュ)

ダッカ発

2020年07月06日

バングラデシュ政府は6月11日、前年度比9%増となる2020/2021年度(2020年7月~2021年6月)の当初予算案〔総計:5兆6,800億タカ(約7兆3840億円、1タカ=約1.3円)〕を発表した(添付資料参照)。新年度予算案は新型コロナウイルスに係る救急医療と経済回復を主眼として構成し、各種経済指標や税制改正についても明示した。また、各種インフラ整備に係る「開発プログラム」は前年度比7.1%増の計画で、引き続き重要な位置付けであることをも示した。

国際機関は新型コロナウイルスの影響による経済成長予測を下方修正する中(2020年6月22日記事参照)、政府は予算案の中で2020年度も8.2%と高い経済成長を目標に掲げている。新型コロナウイルス対策には、緊急治療(1,000億タカ)や国内産業支援の経済刺激策の利息支払い(300億タカ)など、総額の約3.7%に当たる合計2,102億タカを計上した。開発プログラムには2兆514億タカで、主要な開発分野は交通(25.4%)、施設・水(12.6%)、電力(12.1%)、教育(11.4%)、科学・情報通信(9%)となっている。

税の主な変更点では、前払い所得税(AIT)(注1)について、主力産業の縫製産業を含めて全ての製品輸出時の税率を1%から0.5%に、生活必需品(コメ、ジャガイモ、タマネギ、ニンニク、砂糖など)の現地供給、家畜飼料向けの原材料の輸入に係る税率を5%から2%に変更した。

他方、市場拡大が期待される二輪車、自動車などの登録料(新規および買い替え)に係る補足税(SD)(注2)を10%から15%に変更した。今後さらなる消費の伸びが期待される二輪車購入時の登録料およびSDの負担は、増税前から販売促進の1つの阻害要因となっており、バングラデシュ二輪車製造者協会(BMAMA)は今回の予算案発表の以前から、政府へそれらの引き下げを要請していた。結果としてSD増税案が出たことから、政府も大きな期待を寄せる二輪車市場の拡大へ大きな足かせとなることが懸念される。

関税では、さらなる新型コロナウイルス対策として検査キットやマスク、個人用防護具(PPE)のほか、消毒液・マスク・PPEの国内製造に必要な原材料の輸入関税を免除するとした。このほか、国内畜産業保護のため、加工済み鶏肉の輸入関税を20%から35%に変更。また、農業機械および家畜飼料用の原材料(計10品目)の一般関税を10%(一部5%)から1%に変更した。

(注1)Advanced Income Tax。AITは特定の国内商取引や輸出入の際に所得税相当分として源泉され、最終的には会計年度および事業者ごとに相殺される税。

(注2)Supplementary Duty。地場産業保護のため輸入時や、贅沢(ぜいたく)品の購入時に課せられる税。

(山田和則、安藤裕二)

(バングラデシュ)

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