ISO、「新型コロナ危機」から観光業を守る国際規格を議論

(スイス、世界)

ジュネーブ発

2020年06月23日

新型コロナウイルスに影響される観光業界を支えるための規格づくりを議論しているISO/TC 228の本会議が、6月15日にオンラインで開催され、スペイン規格協会(UNE)が発行する国内向け標準シリーズ「UNE 0066 新型コロナウイルスSARS-CoV-2のまん延抑制対策ガイドラインおよび推奨事項」を、国際規格のベースにすることについて議論が行われた。

ISO(国際標準化機関、International Organization for Standardization)では、分野ごとに分かれた専門委員会(technical committees:TC)に各国メンバーが集まり、ISO国際規格を作成する。観光や関連サービス分野の専門委員会であるTC 228は、これまでホテルサービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますスパ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますスキューバダイビング外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどのISO国際規格を発行してきた。現在は全ての人にアクセス可能な観光外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます医療ツーリズム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどの規格を作成中のほか、新型コロナウイルスに対応する規格について議論している。

スペイン規格協会が発行する「UNE 0066」シリーズは、仕様書(specification)と呼ばれる標準の一種。正式な規格よりも短期間・簡略プロセスででき、規格をつくる際にベースとして使用されることも多い。「UNE 0066」シリーズでは、現在19項目についての仕様書が発行されており、観光に関連するサービスを広くカバーしている(スパ、ホテル、旅行代理店、キャンプ場、レストラン、ゴルフコース、観光案内所、博物館、ワイナリー、観光バス、遊園地、ビーチなど)。感染リスクを最小限に抑え、顧客と従業員を守るための指針を示す。

欧州はまもなく、本格的なバカンスの季節。年間で約8,179万人の海外訪問者を受け入れる〔出所:国連世界観光機関(UNWTO)、2017〕スペインのほか、フランス、イタリアなど、欧州には観光大国が多く存在する。観光客と従業員を守り、観光業を支えるための規格の開発が急務となっている。

(小谷由紀子)

(スイス、世界)

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