米CDC、通勤時の公共交通機関利用回避や時差出勤を推奨、消費者の公共交通機関の利用頻度に変化も

(米国)

ニューヨーク発

2020年06月09日

米疾病予防管理センター(CDC)は、オフィスビルに職場を持つ雇用主向けの新型コロナウイルス対策をまとめたガイダンス「COVID-19 Employer Information for Office Buildings外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(5月27日)の中で、通勤の際に公共交通機関や配車サービスを利用している従業員に対し、自転車や徒歩、自動車など他人との濃厚接触を最小限に抑える交通手段を利用するためのインセンティブを提供するよう雇用主に提案している。また、交通機関を利用する際にはCDCのガイドラインに従って感染から身を守ることや、通勤時の混雑を避けるために従業員の時差出勤を認めることなどを提案している。

新型コロナウイルスの感染拡大により、公共交通機関や配車サービスを利用することに懸念を抱く個人は多い。IBMが5月1日に発表した新型コロナウイルス感染拡大による消費者行動の変化に関する調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(対象:米国の成人約2万5,000人)の結果によると、バス、地下鉄、電車を日常的に利用していた回答者のうち28%が「公共交通機関の利用頻度を減らす」と答え、「今後は利用しない」も20%超に上った。また、これまで配車サービスを利用したことがある回答者の半数以上が、今後は利用を減らすか完全にやめると回答した。さらに、回答者の17%以上がこれまで以上に自家用車を使用するつもりだと述べ、その約4分の1は、交通手段として自家用車のみを使用すると回答した。

地図サービスアプリケーションを提供するアップルが公開しているデータによると、米国で感染者数が急増し始めた3月後半以降、公共交通機関の経路検索件数は1月時点と比べ2~4割の水準に落ち込む一方、自動車の経路検索件数は5月後半から同1~2割程度高い水準となっている。駐車場予約アプリ「スポットヒーロー」によるニューヨーク市内の月極駐車場の検索件数は、4~5月の2カ月間で倍増したという(CNBC6月4日)。

CDCのガイダンスについて、米国公共交通協会(APTA)のポール・スクーテラス最高経営責任者(CEO)は5月29日の声明で、「多くの個人にとって、自動車の所有や通勤手段としての利用は経済的に手が届くものではない。また、公共交通機関は今回の危機が続く中でのライフラインであり、必要不可欠なサービスを提供してきた。わが国が回復する間も重要(なサービス)であり続ける」と述べ、CDCに対しAPTAや公共交通機関と協力し、乗客のさらなる安全確保措置を策定するよう求めた。

(大原典子)

(米国)

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