経済活動再開に伴い一時帰休制度の見直しへ

(フランス)

パリ発

2020年06月26日

フランスのマクロン大統領は6月24日、労使代表を集めた全体会議を開き、雇用問題に関して協議した。この中で大統領は、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて拡充した一時帰休制度について、今後、段階的に見直す方針を明らかにした。

5月からの移動制限緩和に伴い、既に政府は6月1日、企業が休業する従業員に支払う休業手当(額面給与の70%、法定最低賃金の場合は100%)に対する国の補填(ほてん)率を100%から85%に引き下げていた。

6月24日付の「レゼコー」紙によると、今回、マクロン大統領が示した一時帰休制度に関わる改正の主な内容は以下のとおり。

現行の一時帰休制度を9月末まで維持する。10月1日から、従業員が受け取る休業手当は現行の額面給与の70%から60%へ減額し、国による補填率も現行の85%から60%に低減する。また、利用期間の上限設定を3カ月間に1度のみ更新可能で最長6カ月までとするなどの改定を行うが、大統領府は「(新型コロナウイルス感染症に伴う)経済危機以前の水準に比べ、より手厚い制度になる」としている。

航空機、自動車、観光、イベント業界など、今後、急速な回復が見込めない産業に対しては、大量解雇を回避するため、長期的な一時帰休制度の利用を可能にする特別制度(長期部分雇用制度)を7月1日から導入する。同制度は、企業または業界レベルでの労使合意の成立が条件で、企業が休職する従業員に少なくとも額面給与の70%を支給し、国が85%を企業に補填する制度を維持する。ただし、合意が10月1日以降になった場合は、国の補填率が80%に引き下げられる。これは、労使協議と労使合意の早期成立を後押しするためだ。休業時間は労使協議により設定されるが、従業員1人当たり平均で労働時間の40%を上回ってはならない。また、労使合意の有効期間を6カ月とし、最長2年まで更新できるとした。

(山崎あき)

(フランス)

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