隔離措置による経済損失は2兆3,000億円、3分の2の企業が収入ゼロ

(フィリピン)

マニラ発

2020年06月01日

フィリピン国家経済開発庁(NEDA)は、3月中旬から実施している外出禁止令や公共交通機関の停止を含む隔離措置による最初の45日間の経済損失は、GDPの5.56%に相当する1兆1,075億ペソ(約2兆3,258億円、1ペソ=約2.1円)に及ぶとする報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

NEDAによると、経済損失の業種別の内訳は、第一次産業が943億ペソ、第二次産業が5,377億ペソ、第三次産業が5,897億ペソで、第二・第三次産業への影響が大きい(注1)。地域別にみると、マニラ首都圏(5,893億ペソ)が最大となり、うち第一次産業(5億ペソ)、第二次産業(1,344億ペソ)、第三次産業(4,548億ペソ)となった(注2)。マニラ首都圏に次いで経済損失が大きい地域は、日系製造業が多く工場を構えるカラバルソン地域(2,651億ペソ)で、うち第二次産業の経済損失は2,445億ペソと大半を占めた。3番目に経済損失が大きい地域は、セブ市を含む中央ビサヤ地域(377億ペソ)となった。

NEDAはさらに、国内4万4,000社を対象に調査を実施し、隔離措置期間中に収入がゼロとなった企業は3分の2に上ったとした。操業を停止した企業は約6割、一時的なものを含む従業員の解雇を行った企業は4分の1に及んだ。隔離措置期間中のキャッシュフローについて、22.8%の企業が税金または債務の支払いが遅延し、17.7%がサプライヤーなどへの支払いが遅延しているとした。また、12.5%が政府からのローンを申し込み、10.2%が友人から借金をし、9.5%が顧客に対して早期支払いを求めたとした。

(注1、2)NEDAの報告書上、第一次~第三次産業の損失額を足し合わせた数値は、全体の合計額と異なる。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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