3月の産業活動指数が2桁のマイナス、2009年以来の大幅な落ち込み

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年06月08日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は5月20日、2020年3月の産業活動指数が前年同月比で11.5%減、前月比で9.8%減(季節調整済み)になったと発表した(添付資料図参照)。新型コロナウイルス感染拡大以前の2019年8月から既に前年同月比でマイナス成長を続けてきた中、3月20日以降の外出禁止措置を受け、さらに指数は悪化した。このような大幅な落ち込みは2009年4月(前年同月比11.9%減)や同年5月(13.7%減)以来となる。

前年同月比の増減率を産業別にみると、15業種中、電気・ガス・水道を除く14業種がマイナスとなった(添付資料表参照)。最大の減少幅を記録したのは漁業(48.6%減)で、建設業(46.5%減)、ホテル・レストラン(30.8%減)、と続く。製造業(15.5%)や商業(11.2%減)といった産業規模の大きな主要分野も大幅に減少した。

4月は丸1カ月、経済活動が停止していたことから、産業活動指数が3月以上に落ち込むことが確実視されている。現地調査会社レデスマ・コンサルティングは4月の産業活動指数は前月比でマイナス20%超下落すると予想している。アルゼンチン工業連盟の幹部も、今回の経済危機が「2001年(の経済危機時)よりも厳しい」として危機感をあらわにしている(「テラム」5月20日)。その一方で、レデスマ・コンサルティングは、5月には外出禁止措置の緩和に伴い、回復に向かうと予測。政府系機関の生産研究センター(CEP)も、3月と4月が底になると見通している。

このような状況の中、政府は民間企業および国民への経済的支援を続けている。現地紙「ラ・ナシオン」によれば、国内の3分の1の民間企業が「雇用および生産のための緊急援助プログラム(ATP)」(2020年5月18日記事参照)を利用して、労働者への賃金支払いを行っているという。同紙はまた、世帯ごとにみるとATP、緊急家族手当(IFE)、個人納税者と自営業者への融資、失業保険など「政府からの何らかの支援・収入を得ている割合が全体の89%に上る」と伝えている。

(津下みなみ)

(アルゼンチン)

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