UNCTAD、2020年のアフリカの直接投資流入額を250億~350億ドル程度に減少と予測

(アフリカ)

アディスアベバ発

2020年06月19日

国連貿易開発会議(UNCTAD)が、世界投資報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2020年6月16日発表)で2020年のアフリカへの直接投資額を250億~350億ドル(前年比25~40%減)になると予測した。2019年のアフリカ向け直接投資額は、450億ドル(前年比10%減)だった。2020年は、新型コロナウイルスの影響により大きく変わり得るものの、直接投資流入額は2年連続の減少となる見込み。

アフリカでの企業の買収案件(M&A)は、2020年4月の発表数が3件にとどまっており、2019年の月平均案件数(11件)から減少がみられる。新規直接投資も、2020年第1四半期までに金額ベースで62%減少している。

UNCTADによれば、アフリカ向け投資は石油や鉱物資源、農産物など一次産品に関連した投資が多い。同時にそれらは主要な輸出産品として、域外製造業向けの投入財となる。世界経済の減速による需要の減少と国際取引価格の下落は、こうした分野で企業が投資を手控えるようになり、地域にとって直接投資の押し下げ要因になる。

既にアフリカに投資している多国籍企業では、既存案件の収益減少が見込まれる。再投資に回わせる金額が小さくなるため、やはり直接投資の押し下げ材料とみられている。例えば、エジプトでは2019年の新規直接投資流入額のうち、41%に当たる額が収益からの再投資によるもの。同様にナイジェリアでは26%相当だという。UNCTADは報告の中で、アフリカへの投資を促す主要国の政策も紹介しており、米国「Prosper Africa Initiative」、中国アフリカ協力フォーラム、英国アフリカ投資サミット、ロシア・アフリカ経済フォーラム、フランス「Choose Africa」などが、それぞれ投資減の緩和に資する可能性があると期待を寄せている。このうち、米国はProsper Africa Initiativeの一環として、2022年までにエチオピアの民営化案件などに最大で50億ドルを投資する意向を持つ。

2020年の世界の直接投資額は、新型コロナウイルスの影響から最大で前年比40%減となり、1兆ドルを切るとUNCTADでは予測している。2021年も直接投資額の減少は続き、回復は2022年になるとみている。

(関隆夫)

(アフリカ)

ビジネス短信 d43641dec64e769e